高齢者白書などが発表された際、大変だ、可哀想だという箇所だけに焦点が当たったニュースになってしまっている。
本来は、このような実態を正確に伝えるのが報道の責務であり、実態に即した世論形成がなされることで効果的な政策も選択されやすくなる。ところが、高齢者白書などが発表されても前述のような部分は無視され、大変だ、可哀想だという箇所だけに焦点が当たったニュースになる。自分たちの決めた高齢者像と矛盾する内容は避けたいのだろうが、公共性を標榜する報道機関の姿勢として疑問が残るところだ。悪いことに、大手メディアが描く高齢者像に便乗する輩も増えてきた。「下流老人」がその典型で、高齢期に多くの人が経済的逼迫に陥ると煽り、金融機関や士業などが「下流老人になる人の特徴はこれだ!」などと、根拠の薄いチェックリストを作ったりしてその備えを商売にし始めている。受け手として報道内容を鵜呑みにせず、的確に読み解く力を身につけるのはもちろん重要なのだが、メディアにも、高齢者の実像を正確に伝えようとする姿勢へ転換を求めたいものである。
高齢社会
2015.11.13
2015.12.11
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