日本の突破口

2012.11.16

経営・マネジメント

日本の突破口

石山 喜章
株式会社CCO 代表取締役

現代日本と資本主義の構造から、未来を拓く為に必要な突破口について。

「他人を豊かで幸せにできることが善である」という価値観をベースに、地球上にある天然資源を人間の役に立つように加工し、無駄なく効率よくそれを必要としている人のもとへ届けることが、資本主義の命題でした。

この資本主義社会において、物々交換の基本単位であるマネー(通貨、紙幣)が誕生して以来、様々な変遷を辿り、現代では貨幣を発行・印刷する権利を有するのは各国の中央銀行となっています。

そして貨幣発行の限界が、資本主義発展の限界とイコールになってしまいました。

交換する対象(モノやサービスなど人が価値を認める存在)と交換する為の道具(貨幣)の量が1:1の関係であれば、バランスのとれた健康な資本主義(当初の理想を実現する為の仕組み)として機能したのでしょうが、今や交換する対象1に対して、貨幣の量は24.4倍を超え、とてつもないバブルを生み出しています。

このアンバランスな状態で、交換対象である実物経済の量が増えればバランスは取れるのですが、その量がたいして変わらないまま紙幣の発行量だけ増大させていけば、一体何が起こるのでしょうか。

そう、バブルの崩壊です。

QE3(量的緩和策)を実施しても景気が回復しないのは、人が「何かを欲しい」という欲求やニーズ、交換対象となる価値を生み出すことができていないからです。

交換対象が存在して、初めて交換手段としての貨幣が必要となってきます。

例えば最近流行りの携帯ゲームでは、「欲しいアイテム」を手に入れる為に、ゲーム会社が発行するポイント(疑似通貨)をお金を払って購入する必要があります。

このように、欲求やニーズがあれば貨幣(それを手に入れる為の手段)は必要とされるのですが、新しい欲求やニーズがなければ貨幣も必要とされず、結果お金自体の価値が下がることになります。

量的緩和策などを講じて、資本主義社会で幾らお金を流通させても「そもそものニーズ・欲求」がなければ、景気は回復しません。

1970年代のオイルショックの際は、まだ冷蔵庫やクーラー、車や家など、欲しいモノに溢れていた時代でした。なのであらゆる原料の石油価格が上昇しても、マネー流通量を増やして給料を上げさせ、仕事の内容は変わっていなくてもまるで自分の価値が上がったかのように錯覚させることで、消費マインドを刺激することができました。

結果、消費・支出も給料の増額と合わせて増加し、後から物価を上げるという政策で全体のバランスを取りながら景気活性化を続けることができましたが、今は「欲しいモノ」がなく、まして将来が不安であれば、子ども手当てと称して国が「お金をあげるから消費しろ」と言っても、それが消費活性化に回ることはありません。

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石山 喜章

石山 喜章

株式会社CCO 代表取締役

【心を経営する。チーフ・コミュニケーション・オフィサー】 人間力・人間関係力向上させる企業研修&経営コンサルティング ライブドアにおける600名規模のメディア事業の立ち上げ、M&A後の事業統合、社内紛争の解決など、豊富な経験をもとに、北海道大学、明治大学、埼玉大学、関西大学、BBT大学、人事の大学などにて、講師、審査員などを務め、本質深くに迫るアプローチには定評がある。

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