「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く

2011.02.10

営業・マーケティング

「カチッ・サー理論」で、でんかのヤマグチを読み解く

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

マスコミでも頻繁に取り上げられる驚異の街の電器屋さん、「でんかのヤマグチ」のことは、私のメルマガ&ブログでも何度か紹介してきました。

同店の最新の状況は、販促会議(2011年2月号)の記事で把握することができます。

町田市郊外にある、売場面積500平方メートルの同店の年商は12億8800万円(2010年3月期)。従業員数は42人(うちパート8人)です。

粗利益率はなんと38.9%!年々粗利益率が高まっているようです。これだけの粗利を取るわけですから、店頭販売価格は、近隣の大手家電量販店よりも数万円高い。カカクコムの最安値と比較したら、2倍近くになることもあるようです。

また、同店はパナソニック系列店として、「ハイビジョンテレビを一番売る店」なのだそうです。

さて、同社が成功するきっかけとなった最初の要因は、「お客がうちを選ぶのではなく、うちがお客を選ぶ」という戦略転換にあります。すなわち、同店のきめ細かなサービスを喜び、繰り返し買ってくれる顧客にターゲットを絞り込んでいるのです。具体的には過去5年間、商品を購入していない顧客を削除しており、現在の顧客リストの数は12,000人です。以前の記事によれば、戦略転換前の顧客リスト数は3万4千人だったそうですから、現在は3分の1以下まで減らしたわけですね。

では、でんかのヤマグチが成功し続けている最大の要因と考えられる点を「カチッ・サー理論」で読み解いてみましょう。「カチッ・サー理論」は、お客さんが自然に財布の紐をゆるめてくれるような心理的スイッチをまとめたものです。(詳細は末尾の記事URL参照)

実は、同店が活用している「カチッ・サー理論」は、徹底した「返報性」だと考えられるのです。「返報性」とは受けた恩義に対しては、将来報いなければならないという心理のこと。

まず、同店では土・日にお客さんを呼んで、旬の特産品を無料プレゼントしています。例えば、11月は「だんしゃく祭り」。男爵いも、たまねぎそれぞれ2キロをお客さんに持ち帰ってもらいます。お店では、いもをゆで、塩、バター、キムチなどを用意して、その場で食べてもらえるように設営してあります。

過去32年間にわたって続けているこのイベント。月5回開催して、1回あたり400世帯が来店するそうです。

また、同店は、無料でモノを提供するだけではありません。本業とは関係のないこと、また直接売上につながらないことでも、お客さんが困っていること、望んでいることなら、営業担当者が喜んでやってあげる。同店では、こうしたサービスを「裏サービス」と呼んでいます。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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