「カチッ・サー理論」と取り組み事例

2011.02.05

営業・マーケティング

「カチッ・サー理論」と取り組み事例

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、ビュー・コミュニケーション(NPO法人)が主催する[ECS研究会 実証実験 成果発表会]に出席してきました。同法人は、顧客満足度指標(CSI)をはじめとする各種評価事業を行なっている団体です。なお、‘ECS'とは、拡張された顧客満足度の意味です。(Extended Customer Satisfactionの略称でしょう)従来のCSの概念ではカバーできない領域を指標化しようとする試みのようです。

今回のECS成果発表会は以下の2部構成でした。

1部:売上の科学
2部:顧客の心をつかむ科学

1部の「売上の科学」は高度な分析方法を用いた実証研究の話でしたので割愛し、2部の「顧客の心をつかむ科学」について簡単にご紹介したいと思います。

顧客の心をつかむ科学は、名著『影響力の武器』で提示された「カチッ・サー理論」が下敷きとなっています。「カチッ・サー理論」とは、カセットレコーダーのスイッチを「カチッ」っと入れると「サー」とテープから音が流れ出すように、外部からの働きかけに対して、人が無意識に、つまり‘自動的’に反応してしまうパターン(=心理的スイッチ)を理論化したものものです。

このカチッとスイッチを押すことのできる働きかけの主なものが以下の10項目です。実証実験では、この「カチッ・サー理論」を実務の現場で実際に活用してその効果を検証することが目的になっています。今回は、以下の2組織の取り組み事例の発表が行なわれました。

・自動車販売ディーラー(セールスパーソン)
・病院(看護士)

では、ビューコミュニケーションズが指標として設定している「カチッ・サー理論」の10項目がどんなものかを示しましょう。

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1 返報性

受けた恩義に対しては、将来報いなければならないという心理。最初に無料プレゼントをもらってしまうと、その代わりになにか買わないと悪いと感じてしまうようなこと。

2 コミットメント

自分の態度や行動が「一貫していること」は望ましいとみなす心理。一度、小さい依頼に「YES」と言ってしまうと、次の大きな依頼に対しても「YES」と言いたくなってしまうようなこと(「YES」と言った後で、反対の「NO」と言うのは一貫性が保てないからです)

3 容 姿

外見の良さ(「みだしなみ」も含む)は好感度に大きな影響を与えるという心理。いわゆる「ハロー効果」が効いています。

4 類似性

自分と出身地や趣味関心事などが似ている人に対して親近感を覚える心理。

5 お世辞

たとえ、真実ではないとしても、自分を称賛してくれる人を好ましく思う心理

6 協同性

自分の味方になってくれる人、協力してくれる人を好む心理。

7 連合性

望ましいこと、望ましくないことを結びつけてとらえる心理。おいしい食事をしながら話した人に対しては、「おいしかった」という好ましい思い出とその人が結びつき、その人に対して好感を持つようなこと。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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