中国ビジネス10のミスマッチ(4/10)

2007.10.09

経営・マネジメント

中国ビジネス10のミスマッチ(4/10)

坂口 昌章

日本のファッション業界でも「ライフスタイル提案」という言葉が流行った時期がありました。しかし、バブル崩壊あたりから、「いかに単品を安く売るか」に集中し、ライフスタイル提案はなくなりました。 ライフスタイルとは生活全体のコーディネートを意味する言葉であり、「商品をセットで高く売る」ことがポイントです。したがって、中国のラグジュアリーブランドはライフスタイルに熱中しているというわけです。

4.単品志向とライフスタイル志向

 日本国内において大きな面積を占めるアパレル製品の売場は、「ユニクロ」「ギャップ」等のカジュアル商品、「コムサイズム」等の国内SPAの中級品、「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「シップス」のような国内有名セレクトショップ、「ルイ・ビュトン」「グッチ」「プラダ」「アルマーニ」「ラルフローレン」等の欧米ラグジュアリーブランド、「ザラ」「H&M」等の海外中級SPAブランドに限定されている。
 日本市場におけるSPA型アパレルは、売上規模、店舗数が拡大したことにより、中級品を大量に販売する形態が中心になり、インポート製品を含めた付加価値の高い商品は、有名セレクトショップが中心に扱っている。
 バブル崩壊以前のDCブランド全盛の時代は、複数のブランドを編集したライフスタイル提案型の売場構築を目指すアパレル企業も存在したが、現在の状況を見る限り、国内アパレル企業単独でライフスタイル提案を行おうとする例は少ない。
 中国のラグジュアリー・アパレル企業では、「ライフスタイル提案」がキーワードになっている。前述した「ホワイトカラー」は既に北京に自社の4ブランドによる1000平米の大型ライフスタイルストアを展開している。
 この傾向は、他のアパレル企業にも見られる。最初から大型ライフスタイルストア展開を考えたブランド展開を行い、自社ブランドで売場の面を押さえていこうという戦略が進められている。
 中国アパレル企業は、社内にショップデザイン部門、販促デザイン部門、商品デザイン部門を持ち、海外にデザイン部門を設置する動きも盛んである。日本のアパレルが、ショップデザイン、グラフィックデザイン等をアウトソーシングするのに対し、中国では一人のアートディレクターの元に、商品、売場環境、プロモーション等の全ての要素がトータルにコントロールされているのだ。
 もちろん、以上のような事例は中国のトップランクのアパレル企業だけに見られるものだ。中国の多くのアパレル企業の経営者は学歴も低く、科学的なマネジメント手法も理解していない。しかし、今後成長していくであろう中国アパレル企業は多くの日本アパレル企業以上に戦略的にビジネスを進めていることを忘れてはならないだろう。

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