成長を遂げ続けるユニクロのこれまでの流れ、これからの動きをどう考えればいいか。金森マーケティング事務所取締役社長であり、屈指のユニクロウオッチャーの金森努さんにインタビューしてみた。
イ 以前、マクドナルドが、サテライトショップとして大規模店の周囲に小さな店を次々とオープンさせた時期がありました。あれに近い戦略でしょうか。
金森 ミニマックですね。それに近いと思います。生活密着度を上げるために大規模店と小規模店をうまく同エリアの中に混在させる。ただしこれまでのロードサイド量販店とは大きくノウハウが異なるはずです。小規模店はユーザーがどのような品揃えを好み、何をどのような手に取ったかを細かく観察しなくてはいけない。これまでのロードサイド店にはない接客ノウハウです。それをいまユニクロは獲得しつつある。
イ 金森さんのお話を聞いてよくわかったのは「ユニクロでは店長の裁量権が大きい」と言われている点です。顧客密着度を増すためには、ショップごとに対応していかなければいけない。どうしても店長の権限を大きくしなければいけなくなるわけですね。では、最後にユニクロの弱点を敢えてあげるとすると?
金森 弱点が見当たらないんですよ(笑)。ユニクロとジーユーとの差別化としての値上げをどのようにするのか、ですね。近いうちにユニクロは値上げをすると思います。ユニクロの母体であるファーストリテイリング株式会社柳井会長は「ユニクロはナショナルブランドの商品と比べても品質は高いが、最低価格では提供できない。まあまあの品質で低価格のものを求める人はジーユーでお願いしたい」と言っています。つまり、ある程度の価格で高品質な商品ならユニクロ、品質はユニクロほどではないけれど価格が安いものはジーユー、という位置づけをファーストリテイリングは考えていると思います。ふたつのブランドの差別化の意味でも、ユニクロの値上の可能性は大きいと思います。
いずれにしても、ユニクロの大きな強みは、品質へのこだわりを常に持っていること、同時に店舗展開を含めて、変わるべきところはどんどん変えるという柔軟性を兼ね備えている点。本当に顧客ニーズの変化を良く見ていると思います。ファッション性を獲得し、安くて、品質が良いとなると無敵ですよね。
イ 確かにそうですね。今日はありがとうございました。
2009/6月青山学院大学構内にて取材。
インタビュー&構成、原 勝也
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。