スタバの変化と上場リスク

2008.12.22

経営・マネジメント

スタバの変化と上場リスク

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

スターバックスの問題についての金森氏の指摘を参考に、飲食業の上場リスクとスタバの現状について、さらに議論を深めてみたい。なぜ、スタバは「らしさ」を失い変わってしまったのだろうか。

もしかして炎上か

ちょうど10日前、個人ブログにスタバについてのエントリーをアップした。これが12月14日、15日の2日間で約3万近くのアクセスとなった。ひょっとして「炎上」したのかと350あまり付けられたはてブをおそるおそる見ると、意外に「同意」というコメントが多い。

このエントリーではアメリカ・スタバの売上高がマイナス傾向にあることから書き起こし、日本のスタバでも売上こそ伸びているものの営業利益については前年対比▲27%と落ちていることを指摘。ここから日本でも、今のスタバには以前の魅力がない、その理由は何かと言う流れで書いていった。

結論として今のスタバは当初いわれた『サードプレイス』感がないこと、その理由としてスタバに人気が集まったが故の自己崩壊が始まっていることを挙げた。人気が出れば客が集まる、客が集まればスタバが日本上陸当初狙っていたのとは異なる層の客が来る。その結果、店の雰囲気が変わってしまう。

さらに増える客に対応するために席数を増やしたことが、スタバならではの空間ゆったり感を失わせた。いずれも、その背景にある要因として株主からの成長圧力があるのではないかと推測したわけだ。

はてブコメントでの気づき

はてブコメントは、結構同意というものが多かった。つまり、以前のスタバはゆったりしていてよかったけれど、今は詰め込み感がある上に、いつも混んでいる。混んでいる原因は高校生が多かったりするからで、とてもうるさい、といった内容だ。

ただ、中には鋭い指摘もいくつもあり、そこからいくつか貴重な気づきを得た。指摘のポイントは、きちんと3C分析なり4P分析をしているのかというもの。この点で金森氏の記事がとても参考になった。

たとえば3C分析をするなら、競合としてマクドナルドのコーヒーがおいしくなったことやシアトル系のショップが増えたことが挙げられる。中にはゆったり寛ぐなら今のスタバよりもルノアールや珈琲館の方がずっと良く、手軽に休みたいならマックやドトールがある。だからスタバはポジションが中途半端になったという指摘があった。その通りだと思う。

あるいは自社要素としては、飲食店を構成するQSCA4要素のうちでもAtmosphere、雰囲気の劣化を指摘する声が圧倒的だった。ソファ席が減ったこと、隣席とのスペースがなくなったこと、そしていつも混んでいることなど。金森氏が書かれている通りだ。市場要因としては景気悪化が大きいのではないかというコメントが目についた。いずれもとても参考になった。

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