幸之助論は、松下電器の創業期からの経営や創業者である松下幸之助氏について学ぶことのできる良書である。幸之助論の感想を紹介する。
幸之助氏は経営の勘所をおさえていたのだろう。幼少時代からの仕事の経験と家族の不幸など幾多の苦難を乗り越えてきたことが幸之助氏を多少の失敗ではくじけない経営者に育て上げたのだろう。また、幸之助氏は勉強熱心だった。断念したものの大阪電燈時代に商工学校夜間部の予科に通っている。また、幸之助氏は特定の宗教を信じなかったが天理教について研究している。これによって「産業人の使命は貧困の克服にある」という壮大な理念を打ち立てる。その頃、松下電器は小企業から従業員1100人の中企業に成長していたが、1代や2代では決して実現できないであろう高い目標を掲げていた。
中小企業の経営者の中にも壮大な理念や目標を掲げる人物は多いのかも知れないが、それを従業員に示し、実際に追求したこと(できたこと)は幸之助氏の経営者として、また、人としての非凡さをあらわしている。
戦争が松下電器の発展を後押しした面とその後の試練を与えた面があるようである。そんな中で幸之助氏は一企業の経営者としてのみならず、社会的なリーダーとして成長を続けた。PHP研究所の設立なども幸之助氏のリーダーとしての飛躍を支えていたようである。
サミュエル・ウルマンの詩「青春」には私も感銘を受けているが、幸之助論の中でも幸之助氏のお気に入りの詩として、また、幸之助氏の考え方を要約するものとして紹介されている。
原書の「限りなき魂の成長」と同様に幸之助論もベストセラーになるほど、多くの読者を得ないのではないかと思う。このような本を読むのは経営者やリーダー層、あるいは、それを目指す人々、または、経営の研究者などだろう。
最近は雑誌や新聞、あるいは、専門書を部分的に参照する程度だったが、幸之助論は久しぶりに味わって読むことができた。大変満足している。
余談だが、幸之助氏と私の誕生日が1日違いであることを知った。大変光栄である。星占いにおける身近さを感じさせてくれる。
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