緊急事態終了を遅らせるバカにつける薬

2020.04.28

組織・人材

緊急事態終了を遅らせるバカにつける薬

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

日本人は今、二種類いる。緊急事態解除を真剣に願い行動抑制する者と、緊急事態の意味もコロナの意味も理解できない者である。

緊急事態宣言終了の目処である連休明けに向け、ここ数日は政府からしきりにその解除ができない、延長になりそうな匂わせが出始めた。今、日本人は見事に2種類に分けられたのではないか。公務員や大企業以外のほとんどの産業が生死をさまようほどの打撃を受けつつも、家にこもって耐え忍んでいる多くの日本人がいる一方、「コロナ疲れ」とか「ストレス解消」「子供がかわいそう」とのことで正に不要不急のための外出をしている者がいる。これこそが緊急事態宣言解除を遅らせる、悪意なき無自覚集団といえる。

・人であふれる駅前
都知事からスーパーでの買い物指導が出るのも、緊急事態宣言後、老人と家族のレジャーランドかというほどの状況が続いているからだ。ターミナル駅・大都会への人出が減ったにもかかわらず、山手線内のその他駅前では一日中人々が歩き回っている。

仲良くおしゃべりしながら買い物に出歩く者、公園に集まったり、使用禁止公園そばの路上でて子供たちを遊ばせる親、ドラッグストアに毎日通って行列する老人、スーパーでていねいに野菜や食品をベタベタさわりながら吟味する夫婦。一人で買い物をしているのかと思えばスマホでテレビ電話をしながら、売り場の動画を送って大声でしゃべりながら店内散策をする者もいる。

サーフィンを楽しむ県外車で路上が埋まり、パチンコ屋には密集大行列。遊具やベンチが使用禁止になった公園では、そばにビニールシートを敷いてグループで仲良くピクニックが行われている。体調不良のままスポーツクラブに行き感染してしまった栃木の老人まで出現した。

コロナが広まり世界中がたいへんな状況担ったにもかかわらず、このような不要不急外出を止められない者たちが今、街にあふれかえっている。これは政府や自治体の広報不足ではなく、もはや理解能力の欠如した集団への対策が必要と考えるべきではないだろうか。

・認知能力欠如者への伝達
緊急事態解除を遅らせるのは、そもそも「スーパーに家族みんなで出かける」からではなく、その行為が及ぼす根本的なリスクを理解できないからである。すでに知事会見だけでなく、ニュースを見さえすれば毎日その危険についてはあふれるほどの情報が送られている。

今街を占拠している不要不急出歩き集団は「情報を持たない」のではなく、情報を理解する「能力を持たない」のである。その前提での不要不急集団対策が必要だと考える。「自粛」の意味を理解できない輩に婉曲な示唆は意味をなさない。直接的に一挙手一投足を指示されなければ自分の頭で考えることができないからだ。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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