あのディズニーが負けた。なぜ?

2008.01.24

営業・マーケティング

あのディズニーが負けた。なぜ?

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

世界最強のディズニーに真っ向勝負を挑み、見事に大差の勝利を収めたテーマパークがある。香港海洋公園である。閉園寸前の土壇場からの大逆転、そこにはどんな戦略があったのか。

6年前の真夏、家族で現地に行ったことがある。とにかく暑かった。そ
して何もなかった。大した乗り物もなければ、目新しい見せ物もない。
パンダがいたのが唯一の救いといったところで、あまりの熱さに2時間
で逃げ出すように帰ってきた。

その頃の入場者数が280万人、それが今年は492万人である。一方の香
港ディズニーランドは400万人、開業初年度の520万人から落ち込んで
いる。なぜ、香港海洋公園は奇跡的ともいえる逆転劇を演じることがで
きたのだろうか。

結論からいえば奇策は何一つ打っていない。一つひとつの施策は極めて
ノーマルとさえいっていい。愚直なまでにマーケティングのセオリーに
則って、やるべきことをきちんとこなした。それが逆転勝利につながっ
た。

マーケティングのセオリーといえば、ポイントは大きく分けて二つあ
る。STPを固めることと4P戦略である。

STPは
セグメンテーション
 マーケットの中のどの部分に絞り込むか
ターゲッティング
 絞り込んだ中で、どれだけターゲットを細分化するか
ポジショニング
 ターゲットのマインドの中に自社ブランドをどのように位置づけるか
を考えること。これがマーケティングの出発点となる。

その上で4P(最近ではパッケージを含めた5Pという考え方もあるけれ
ども)とは、
プロダクト(商品・サービス)
プライス(価格)
プロモーション(コミュニケーション)
プレース(流通)
を組み立てて行く。では香港海洋公園の場合は、どうだったのか。

まずセグメンテーションについては、テーマパークに対してただエン
ターテイメントを求める層ではなく教育効果をも狙うゾーンに絞り込ん
だ。中流以上の香港人に多い教育熱心なパパ・ママ層である。だからメ
インターゲットは、その子どもとなる。おそらくここで若者を狙うディ
ズニーとははっきりした差別化が図られたはずだ。しかも子どもを狙え
ばオマケ効果を期待できる。いわゆる6ポケットである。その上でポジ
ショニングはエデュテイメント(教育と娯楽を組み合わせた造語)とし
た。

このSTPを骨格として、そこに緻密に4Pを絡ませていった。すべてに
おいてディズニーとの差別化を意識しながら。

まずプロダクト、パークの目玉となるアトラクションになんと『クラ
ゲ』をもってきた。クラゲ万華鏡と呼ばれる施設には世界中から集めら
れた珍しいクラゲがいる。その展示スペースはわずか300平方メートル
に過ぎない。しかし、これが的確に遊びの本質をついているのだ。

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