新社会人に贈る2015 ~働くという「鐘」「山」はとてつもなく大きい

画像: N.Muray

2015.03.26

仕事術

新社会人に贈る2015 ~働くという「鐘」「山」はとてつもなく大きい

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

この春、社会人となり職業を持つみなさん、おめでとうございます。これから何十年と続く仕事人生の出発にあたり、2つのメッセージをお伝えします。


陽光きらめく春。このたび社会人となり、職業を持つみなさん、おめでとうございます。これから何十年と続く仕事人生の出発にあたり、次の2つのことをお伝えしたいと思います。


1)「働くこと」は深く応えてくれること梵鐘のごとし
~あなたは鐘を割り箸でたたきますか、丸太でたたきますか
2)「働くこと」はおおいなること山のごとし
~「登山型キャリア」と「トレッキング型キャリア」


◆目の前の仕事にどれだけ「強く」当たれるか
まず1点めです。「職・仕事・働くこと」は梵鐘のようなものである───いきなりそう言われてもピンとこないかもしれませんが、私は若手社員の研修でよくこの比喩を用います。

働くことは、ほんとうに奥深い人間の営みです。私たちは、職・仕事を通して、無限大に成長が可能ですし、またそこから無尽蔵に喜びや感動を引き出すことができます。それはあたかも、働くことがお寺に吊してある大きな鐘のようなもので、丸太で力一杯しっかりとたたけば、ゴォーーンと深い音で鳴ってくれることに似ています。

ところが本来そんな深い音を鳴らす鐘であっても、割り箸のような木でちょこちょことたたいたならどうでしょう。チン、チーン、カラン、カランと、鍋ややかんをたたいているくらいにしか鳴りません。要は、鐘が深く味わいのある音を鳴らすのも、浅く軽い音を鳴らすのも、すべてはたたき方しだいということです。

みなさんはこれから緊張と高揚に包まれながら、スタートダッシュで懸命に仕事を覚えていくでしょう。おそらく、最初の半年や1年はすぐに経つと思います。そして2年が経ち、3年が経つころから、人によって差が出てきます。どういう差かというと、仕事という梵鐘をどんどん大きく鳴らすことができ、働くことの面白さや奥行きの広さを知っていく人と、仕事ってしょせんこんなものかと言って、働くことに対し強く当たることをやめてしまう人との差です。後者の人たちは、当然、梵鐘の鳴らす深い音を聴くことはありません。

働くという梵鐘は目に見えません。ここがとても重要な点です。もし働くという梵鐘が立派で大きな形として見えているものであれば、だれしも丸太でたたいて、よい音を鳴らせてみせようとがんばることができます。ところが実際は、働くことがどれほどの大きさなのか、そしてどれほどのものを自分に返してくれるかはわからない。一生懸命たたいたとしても、いい音が鳴らないかもしれないし、即座に反応してくれないときもある。仕事が自分の期待どおりに進むことは少なく、「なんでこうもうまくいかないんだ」と落ち込むことは頻繁に起こります。そんなとき、鐘にケチをつけるのは筋違いです。それは梵鐘の問題ではなく、あくまでたたくほうである私たち一人一人の問題なのですから。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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