日清食品・コンビニ棚の大量占拠のその裏側

2010.01.25

営業・マーケティング

日清食品・コンビニ棚の大量占拠のその裏側

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンビニのカップ麺棚が凄まじいことになっている。

 1月も残り少なくなった今週、コンビニエンスストアに立ち寄ることがあったらカップ麺のコーナーに注目して欲しい。凄まじい勢いで日清食品の製品が棚を占有していることが分るだろう。同社のカップ麺市場シェアは41%に上る。その数字がどのような意味を持つのかといえば「クープマンの目標値」では、41.7%を超えると2位以下が逆転することはかなり困難な「相対的安定シェア」ということになる。圧倒的なリーダー企業であることは間違いない。しかし、棚の占有率で見れば、恐らく50%を軽く超えているだろう。

 その商品群の中でひときわ目を惹くのは、爽やかな白と青のパッケージの「どん兵衛白チャンポン」「焼きそばUFOホワイトカレー」「カップヌードル ホワイトクリームシチュー・ヌードル」の3商品だ。(次頁下画像参照)“バンクーバーオリンピック日本代表応援”というPOPが添えられている。冬季オリンピックの“冬”をイメージしたカラーなのだろう。青は食欲増進効果に反するためあまり用いられない色だが、3ブランド共通パッケージで統一した世界観を演出していることによって、抜群な存在感を示している。

 WHITEトリオほど目を惹くわけではないが、しっかりと棚を占有している他の商品もある。「麺職人」「どん兵衛」には“人気商品”、「太麺堂々」には“新商品”というPOPが添えられている。同3商品は日清食品が“全麺革命”と銘打ち、麺のうまみにこだわって製品改良を徹底した商品である。「麺職人」は生麺のような喉ごしを。「どん兵衛」はその喉ごしを麺の太さでさらに実感できるようにした。そして、全麺革命の総仕上げと位置づけられた「太麺堂々」はどん兵衛で完成させた太麺化の技術をさらに中華麺に昇華させた力作である。

 WHITEトリオと全麺革命の特徴は、“ブランド横断”であることだ。日清食品は<1976年のマーケティング部設立と同時に「プロダクトマネージャー制」を導入し、製品ジャンルごとに置かれたプロダクトマネージャーの下で、開発、生産、販売、宣伝までを独立したプロジェクト単位で推進していた。1990年にを「ブランドマネージャー制」に発展させ、製品ジャンルからブランドごとに管理する形態へと切り替えた(同社ホームページより)>
 一般にブランドマネージャー制度においては、ブランドマネージャーは、商品開発から営業まで一つのブランドにかかわるすべての権限を統括する大きな権限が与えられる。その代わり、損益の責任も負うため強力に自ブランドの価値を高めようとする。社内の複数ブランドのマネージャーが競い合うことは全社的にはメリットが大きい。その反面、他ブランドに対して社内競争が激化し営業・製造・広告・R&Dに対し、ブランド間の資源の奪い合いがおきるなどのデメリットが発生することも珍しくない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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