「ラポートトーク」の出来る営業マンを目指そう。

2009.05.14

組織・人材

「ラポートトーク」の出来る営業マンを目指そう。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

『人の発言にはリポートトーク(report-talk)と、ラポートトーク(rapport-talk)の2種類がある』 最近思うのは、営業マンのトークがリポートトークに偏り過ぎているのではないか・・・ということ。

デボラ・タネンという言語学者は、『人の発言にはリポートトーク(report-talk)と、ラポートトーク(rapport-talk)の2種類がある』と述べています。

事実や情報を述べるのがリポート・トークで、リポーターが現場の状況を報告するように、間違いのない客観的な内容を伝えようとする話のこと。一方、ラポート・トークは情緒的な内容で、自分の主観や気持ちを伝え、相手とのつながりを深めたり関係を構築したりしようとするトークです。(ラポートとはフランス語のラポールと同じで、調和とか信頼関係、心に橋のかかった状態のこと。)

ビジネスでは、往々にしてリポートトークが求められます。「君の考えもいいけど、事実はどうなの」「数字を交えて客観的に」と要望され、論理的で明快なモノ言いが大切であると訓練される訳です。これはこれでとても大切なことなのですが、そういうコミュニケーションばかりになると、何か事務的で緊張感に満ち、余裕のないギスギスした雰囲気の職場になってしまう可能性があります。営業においても、リポートトークだけだとお客様には面白みに欠ける内容になりがちで、誰が担当者でも同じ、調べれば分かる感じがするので盛り上がらず、関係ができにくい訳です。

だからと言って、ラポートトークばかりになると、曖昧で感覚的な仕事が増え、緩んだ雰囲気の職場になるでしょう。営業場面でも、ややもするといい加減な印象を与えかねません。商品知識がないとか、ノリで営業しているとか、場合によってはお客様を軽く扱っているように見えかねないので注意が必要です。

要はバランスが大事だということなのですが、最近思うのは、営業マンのトークがリポートトークに偏り過ぎているのではないか・・・ということ。

例えば、スピードが出る車であるということをリポートトークすれば「この車はエンジンが~~で、馬力が・・・、重心が~~となっていますので、○○キロまで素早く加速することが可能です。」となりますが、ラポートトークするなら「この車はアクセルを踏み込みますと、スッと沈み込んだ感じがしてから静かにスムーズにトップスピードに入るのですが、あの感覚は他の車ではちょっと味わえないと思います。」となります。どちらが、「ちょっと試乗してみようかな・・・」という気になるかという話です。

お客様との会話が盛り上がらない、お客様との関係作りに時間がかかる、なかなか興味を示してもらえない、といった結果は、ひょっとするとリポートトークに偏り過ぎているのが原因かもしれません。ネットの普及などで消費者(顧客)の知識は飛躍的に増え、調べれば分かるような話にはなかなか反応してくれなくなっていますから、営業にとってラポートトークの重要性は増していると言えるでしょう。プロとして知識があるのは当然なのですが、それだけではお客様の期待に応えることはできなくなっている訳です。

営業のロールプレイでは、商品知識を確認するのに留まっている例が多いようですが、その意味では、自社の商品やサービスを自分の言葉で情緒的に述べ、お客様の共感・興味・関心・驚きを得ることが出来ているかどうかをチェックポイントに加えるべきでしょう。しっかりと、論理的に、間違いなく伝えることは良いのですが、それだけでは営業の成果につながりません。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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