主人公なりきり読書のすすめ

2009.05.09

仕事術

主人公なりきり読書のすすめ

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

本を読め。今やビジネスパーソンにとっては、勉強が決定的に大切だ。さらに言えば、本でもオススメは歴史書である。優れた経営者ほど歴史書に学んでいる。では、歴史書はどう読めば良いのだろうか。

みんな歴史を読んで学んだ

優れた経営者は、みんな本を読んでいる。それも歴史書が圧倒的に多い。「愛読書は何でしょうか?」あるいは「お薦めの本は?」と経営者にたずねると、まるで判で押したようにたいていの方が歴史関連の本をあげる。

なぜだろうか。

よくいわれるのが、歴史を読み返せばリーダーシップを学べるとか、歴史の中から本質を学べるという答だ。確かにそうなのだが、では、なぜ歴史書の読書でリーダーシップを学べるのか。例えば日本なら司馬遼太郎の歴史小説を愛読書や推薦書としてあげる経営者も多い。優れた経営者は小説を読んで、何を、どのように学んでいるのだろうか。

歴史とは人が作るものだから

そもそも歴史とは何だろう。いろいろな見方、読み方があるが、その一つとして『歴史とは、人の営みの記録』だと思う。さまざまな環境の変化、人の思惑が絡み合う中で、人が何かを思い、考え、決断を下す。下した決断に従って、行動を起こす。その繰り返しが歴史として記録される。

歴史小説は、そのプロセスをとっつきやすく、おもしろく書いたものといっていいだろう。だから読みやすい。優れた歴史小説ほど読み進むうちに、主人公と自分を知らず知らずのうちに一心同体化させてくれる。ポイントはここ、自分が主人公になった気持ちで読めることだ。

楽しい読書から『離見の見』へ

主人公になりきって、わくわくどきどきしながら読み進む。時間の経つのも忘れてしまうことだってあるかもしれない。が、ここで一歩、立ち止まって考えることが大切だ。求めたいのは『離見の見』である。

世阿弥の説いた『離見の見』とは、自分と自分を含む状況を第三の視点(大所高所)から俯瞰的に観ることをいう。この視点を読書に応用することがポイントだ。自分が主人公になったつもりで感情移入して読むのは良し。ただし、折りに触れてその時の状況を構造化してみること、これが極めて重要なのだ。

構造化すれば掴めること

このように歴史を読むと何が違ってくるのか。自分なら、どう判断したかを考えられるようになる。ということは、その時々の状況を自分なりに理解しなければならない。本を読みながら、本に描かれている環境を自分で再咀嚼することになる。

歴史書を読む上で決定的に重要なのが、この再咀嚼作業だ。歴史的環境を自分なりに再理解することは、その当時の状況を自分で構造化することになる。構造化,すなわちモデル化である。その状況のエッセンスを抽出することにもなる。つまり本質を掴めるのだ。

構造を未来に当てはめる

ある歴史的状況を構造化できれば、その構造を現在はもちろん、未来に当てはめることもできるだろう。しかも、その時点での状況分析・思考・意思決定までもシミュレーション済みということになる。

であるならば、それを現状に当てはめて考えること、あるいは未来像とおいてみてシミュレーションすることも可能となる。不勉強ゆえに知らなかっただけなのかもしれないが、この一連のプロセスこそが経営者にとっては最高の勉強になるのだと思う。

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