瀕死の広告業界を救う『棟梁』待望論!

2009.01.06

営業・マーケティング

瀕死の広告業界を救う『棟梁』待望論!

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「80年代は専門職として磨かれたコピーライターが発信していたが、今は経営も広告も全体的に把握する『棟梁』が(作り手)に求められている。」 この言葉は、糸井重里さんが、昨年春の「広告批評」休刊宣言のニュース時に朝日新聞に寄せたコメントである。 2009年、いよいよ広告屋の肩書き=職能の再編が必要になってきたのだ。 その『棟梁』待望論中身について考察してみる。

欧米では、広告屋の地位は高く、メディアスペースの値引き合戦やクリエイティブの数社コンペなどという虚しい状況は皆無なのだという。クライアントと広告代理店の間の関係づくりそのものが、どうも日本と欧米とは違うようなのだ。

では、欧米と日本の広告屋とは、何が違うのか?そのヒントになるのが、ニューヨークのインタラクティブエージェンシーR/GAで使われている職能=肩書きである。
・ユニバーサルプランナー
・コミュニケーションチャネルプランナー
・ブランデッドコンテンツクリエーター
・データテクノロジスト

組織体制自体が、営業ラインがあって、スタッフがクリエイティブ、メディア、マーケ、SPとなっている→そんな日本型の従来の縦割り構造ではないことがわかる。
「顧客」と「クライアント」を対峙させて、その仲介役として、何ができるかを・・・ハイブリッドかつオーバーラップして提案をする。その本質的サービスを収益化しようとする意気込みが、その肩書きから見てとることができる。

日本の広告屋さんのプレゼンのための全体会議に同席する機会が多いが、クリエイティブ、メディア、マーケ、SP・・・それぞれが余所余所しい。クライアントや顧客のために、ハイブリッドかつオーバーラップな意見を言う人は少ない。
糸井重里さんが言うところの『棟梁』がいない。
インタラクティブエージェンシーR/GAにあるところの『ユニバーサルプランナー』がいないのである。

『棟梁』や『ユニバーサルプランナー』なら、つねに「広告投資」に関する「回収」を、総体的にイメージしてプランする。「顧客」の実生活の動線に沿ってチャネルとコミュニケーションを考える。経営も広告も全体的に把握できるユニバーサルなプランニング能力こそ、『棟梁』になるための必須なのである。

では、ハイブリッドな知識とセンスとオーバーラップできるコミュニケーション能力があれば、次代に必要な『棟梁』になれるのか。それなら、「営業職」が頑張ればなんとかなるじゃんと考えがちだが、こういう時代・・・そうでもない・・・。

そこで、こんな面白い報告が公開されていたので紹介する。
「Flip The Media =既存のメディアをひっくり返す」という研究プロジェクトが、ワシントン大学で行われているという。新聞やテレビで長年の経験を持つジャーナリストとデジタルコミュニケーションを研究する学生のコラボレーションにより、メディアの未来を模索しようというプロジェクト。どちらかがどちらかを駆逐するといった反目的な未来像ではなく、2つを統合した 新しいメディアを創造するとは、どういうことか?が、建設的に研究されている。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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