こんにゃくゼリー事件に見るパーセプション(認知)ギャップ

2008.10.22

ライフ・ソーシャル

こんにゃくゼリー事件に見るパーセプション(認知)ギャップ

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ 人事コンサルタント

こんにゃくゼリーで事故死者が17名。 野田消費者大臣と政府自民党はこんにゃくゼリー製造への法規制を検討し始めました。大臣からの圧力で最大手メーカー・マンナンライフはこんにゃく畑の製造を中止しています。この事態から学び取るコミュニケーション術は?

かつての日本であれば、メーカーの商業主義を是正した正義の味方・消費者大臣野田聖子!ということになったのかも知れませんが、世間の反応は様々でした。
特にネットを中心に「こんにゃくゼリーが悪いのではなく、その食べ方の問題」「モチで人が死ぬけどモチは禁止しないのか」という大反発が置き、こんにゃくゼリー製造中止反対のネット署名は2週間で1万を超え、マンナン社へ寄せられる声も98%は激励だということです。

この問題、発端は「こんにゃくゼリーの事故で死亡者が17名」というところでしょう。「17」という数字をどう読むか、です。

私はカウンセラー養成講座で、何百人ものカウンセラーの方をご指導させてもらっています。受講生はカウンセラー役とクライアント(相談者)役に分かれてロールプレーをしてもらいますが、こんな質問を受けたことがありました。
「クライアントさんが、『大阪から神戸に転勤なんで困った』と言った時、自分は関西の地理に詳しくないので、大阪と神戸の距離がわからず、どうすれば良いか」というものです。

私は「大阪-神戸」が近いか遠いか誰が決めると思いますか?」と尋ねました。そうです、それはクライアントさんだけが決められるのです。距離が何キロかは全く関係ありません。したがって関西の地理への知識は全く必要ないのです。カウンセラーはコミュニケーションのプロです。「近い・遠い」「多い・少ない」「高い・低い」はすべてクライアントさんが決める感覚であり感情なのです。

不幸にして毎日、事故や病気で亡くなる方はおられます。こんにゃくゼリー事故死者・17名は1995年から今までの数字だということ。だとすると年平均は2人に満たないことになりますね。ちなみに国民生活センターや救急救命センター調べによる、1年間のモチ詰まらせ窒息死事件は168件だそうです。こんにゃくゼリーの10年分以上が1年で亡くなられていることになります。
「こんにゃくゼリー、悪くない」はこんなところからも支持される理由なのかも知れません。

せっかく良いことをした、はずだったのに、激しい批判を呼んでしまった野田大臣と政府。「17」という数字の認知を見誤ったと言えるのではないでしょうか。

「人の気持ちがわかる」というのは、テレパシーや魔法ではありません。その事実が、好ましいのか好ましくないのか、多いのか少ないのか、様々な受け止め方・認知がある、ということを「わかる」ことです。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ 人事コンサルタント

ベッキーから都知事まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントです。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演やカウンセリングをたくさん行っています。

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