新規事業に失敗しない方法<上>

2013.10.20

営業・マーケティング

新規事業に失敗しない方法<上>

小倉 正嗣
株式会社リアルコネクト 代表取締役

新規事業の多くは失敗する。その失敗の原因を経営者のパターンごとに分析し、成功の為の処方箋を書く。

Ⅰ.新規事業の定義

企業が新規事業を立ち上げる理由としていくつか考えられるが、下記の様なケースが殆んどだろう。

①現状のビジネスの将来性に対して不安がある

②キャッシュが余っているため、将来に対しての投資として新たなビジネスを始める

③現業のマーケットが飽和しているので、次の成長への打ち手として始める。

④財務状況等の様々な理由から業容拡大の必要性があり、新規事業に進出せざるを得ない状況である。

いずれにせよ、すべて将来を見据えるという理由であり、企業活動において非常にポジティブなチャレンジであるといって良い。

しかし極めて残念なことに、新規事業に着手し成功する可能性というのは実に低いと言わざるをえないのが現実だろう。あくまでも推定にすぎないが、新規事業の発案レベルからカウントするならば、新規事業の失敗の確率は95%位なのではないだろうか?理由は様々考えられるが、新規事業が立ち上がり順調に収益を上げ、本業の収益にプラスの寄与をするステージまで持っていける可能性は極めて低いと言わざるをえないだろう。

本コラムにおいては、これから「新規事業に失敗しないために」と題して2回に分け、新規事業の失敗の理由、新事業の立ち上げに関して考えるべきことや注意点などについて書き記していきたいと考えている。

まず最初に考えたいことは、新規事業の定義についてである。世に新規事業と銘打つ事業はたくさんあるが、定義がかなりマチマチであり明確な定義がないように感じている。新規事業を論ずるに際し、仮にとはいえ本コラムにおける新規事業の定義を明確にしておきたい。

一般的に企業の成長戦略を語る際に必ず使われるフレームワークがアンゾフの製品市場マトリックスだろう。

製品と市場の二軸、新規と既存の二軸を元に表を作り各々を「市場浸透」「製品開発」「市場開拓」「多角化」に分類するマトリックス。事業拡大の進むべき方向性を考えるに際して実にシンプルでわかりやすいフレームワークである。

さて、そこで新規事業を考えるのだが、市場浸透戦略のことは当然のことながら新規事業とは言わない。次の製品開発戦略に関しては複数の考え方があるだろう。既存事業のカテゴリー内の新製品開発は、日常から脱した新たなステージとは言わないため、新規事業とは言えないだろう。逆に想定顧客が全く異なる新製品開発は多角化戦略と同義になるのでこれは新規事業と言ってよい。では市場開拓を伴わない新製品開発戦略はどうだろうか。

次のページⅡ.新規事業を失敗させる罠

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

小倉 正嗣

株式会社リアルコネクト 代表取締役

【自己紹介】 BtoB営業組織改革・新規事業開発を専門とするコンサルタント。新規事業企画担当者・営業マネージャー・B2Bマーケッター・営業マン向けのセミナー/研修/ワークショップの講師・ファシリテーターを中心に営業組織改革、新規事業開発支援等のコンサルティングを行っている。 【保有資格】 中小企業診断士・経営管理修士(MBA)・日本酒利酒師

フォロー フォローして小倉 正嗣の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。