赤白混合ワインは‘ロゼ’ではない

2009.06.27

営業・マーケティング

赤白混合ワインは‘ロゼ’ではない

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

今年は、「ロゼワイン」の人気が 盛り上がりつつあるようです。 赤、白に比べて存在感の薄いロゼ・・・ 私たちのロゼに対するおおよそのイメージは、 甘めのものが多く、食前酒、食中酒としては あまり向いていないというところでしょうか。

しかし、最近は、甘みを抑えたものが登場するなど、
ユーザーのニーズに応えた製品を導入すれば、
市場規模が小さいだけに、逆に拡大余地はたっぷりある
と考えることができますね。

その昔、私がまだ紅顔の美少年(ウソ)だったころ、

「ロゼワイン」

というのは、赤と白ワインを混ぜたものだと思っていました。

オトナの人にある日、

「いや、ロゼワイン独自の製法で作られているんだよ」

と教えられて、

「ふーん、そうなんだ、そりゃ、そうだよね、
 ただ混ぜるだけなんて芸ないし!」

と納得したことを覚えています。

ウィキペディアによれば、ロゼワインの製造法には、
「セニア法」、「直接圧搾法」、「混醸法」の3種類があるみたいです。

ところがなんと、現実には、
単純に赤・白ワインを混ぜる(ブレンド)だけのロゼワインもあるんですね!

これまで「シャンパーニュ」だけには、
この単純な製法が認められていたことを先日知りました。

さて、EU(欧州連合)ではこのところ、新世界(欧州以外の国)の
安価なロゼワイン(ブレンドするだけの製法のロゼが多い)に対抗するため、
シャンパーニュに限らず、赤・白ワインをブレンドしただけのワインを

「ロゼワイン」

と呼んで販売することを認可するどうかの議論が続いていました。

独自の製法で手間をかけるより、
単純に赤白ワインをブレンドしたほうが
低コストで製造できますからね。

最近この議論がようやく結論に達したそうです。
(日経MJ、2009/06/26)

結論は、

「混合しただけのものは、ロゼワインと認めない」

というもの。

価格的には、既に市場に出回っている、
オーストラリアなどの競合国で生産された、

「混合ロゼ」

にホンモノのロゼはかないません。

しかし、ここで混合するだけの安易な製法を認め、
競合国と同じ土俵に立ってしまったら、
手間をかけたホンモノだけが持つ

「ブランド力」

が失われ、

「価格」

でしか競争できなくなります。

すると、利益率が低下するだけでなく、
モノづくりの喜びも失われてしまったことでしょうね。

ですから、今回のEUの結論は正しいと思います。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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