営業組織の“ヒト”至上主義に歯止めをかけろ!

2009.04.25

営業・マーケティング

営業組織の“ヒト”至上主義に歯止めをかけろ!

井上 卓哉

営業組織は社内政治というパワーゲームに支配されやすいですが、その根本には"ヒト“至上主義があり、営業組織を生産的な組織に改善していくためには”ヒト“至上主義にメスを入れることが必要と考えています。

最近、ある営業組織のマネジメント改革を手伝ったのですが、マネジメントの実態をお聞きする中で、つくづく営業組織が“ヒト”至上主義で成り立っているということを感じてしまいました。

“ヒト”至上主義というのは、たとえば会議や何かを決めるときに、内容そのものではなく発言した“ヒト(人)”がもっとも重視されるということです。

“ヒト”至上主義をわかりやすく象徴しているのは会議の場です。みなさんの組織で行われている会議を思い浮かべてみてください。もし会議の中で次のようなことが思い当たるようなら、“ヒト”至上主義に陥っているかもしれません。

  ・部長(権威者)と他の参加している人との一問一答形式で会議が進む

  ・賛成意見しか出ない、否定的な意見を言うには変なプレッシャーを感じる

  ・どんな基準で決まったかよくわからない(判断基準があいまい)

  ・十分な議論がされないまま、部長が全てを判断している

 “ヒト”至上主義の問題は、本来検討しないといけない“コト(内容)”自体の細部に目がいかず、部長の発言で話し合いが終了してしまって、間違いが指摘されにくいことなどが挙げられます。さらにもっと大きな問題としては、“ヒト”至上主義の組織では社内政治が蔓延しやすいということです。“ヒト”至上主義のもとでは“誰が”ということに部下の意識が集まってしまうため、部下は健全にモノを考えることができなくなる・単純思考が強まるなどの問題を抱えやすくなります。そして部下は部長の考えや発言をますます受け入れやすくなり、やがてイエスマンが組織内に増えていきます。そういった中では部下は取り組んでいるコンテント(内容)ではなくプロセス(誰がどのようにして決めているか…等)に目が行くようになり、社内政治に意識・無意識的に敏感になっていくものなのです。

では、どうして営業組織では“ヒト”至上主義が強くなりやすいのでしょうか。

営業組織では一般的に成果が明確で互いに比較がしやすいことから、業績によってお互いにレッテリング(人の多様性を無視して、単純なパターンで人を評価し認識すること)を行い、序列化しやすい傾向があるためと考えられます。さらに営業組織にはその傾向に拍車をかける仕掛けが組織内に数多く存在しているものです。

例えば、ある営業組織では営業会議の場で毎月各営業所の成果を順番に発表していきます。そして、目標を達成できていない営業マネージャーに対しては、営業部長や目標を達成できている他のマネージャーがフィードバックして、いかに目標を達成できていないマネージャーがやるべきことに取り組めていないかを認識させようとします。このような場は業績による“ヒト”のレッテリングを強化するものといえます。

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