使い切り「エコデジカメ」は誰がために?

2008.07.08

営業・マーケティング

使い切り「エコデジカメ」は誰がために?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

昨今、環境に配慮した製品を総称して「エコプロダクツ」と呼び、各企業が独自に基準を定めたり、企業が集い、展示会を開いたりするという動きが活発である。そんな中で、ちょっとビミョーな製品が登場した。

しかし、あえてもう少し考えると、さらにこの商品がビミョーに見えてきてしまう。
確かに、携帯電話の廃材を使うことはエコっぽい。しかし、価格は<1280―1980円>とのことだが、5~7回分、1万円も出せば遙かに高性能なデジカメが買える。
リサイクルに関わる運送や清掃・整備など、どの程度の環境負荷軽減効果があるのだろうか。例えば、デジカメを各々が購入するのではなく、「使い切り」でいろいろな人が結果としてシェアすることによって。または、写ルンですを利用するのと比べて。
名前にもなっている「エコ」の根拠を示すことができれば、ニッチなポジションではなくなるかもしれない。しかし、それができないのだとすると、やはりビミョーなポジションであることになってしまう。

この商品がどの程度ヒットするのか、実際には販売が始まってみないと分からない。
しかし、少し考えた範囲では、売る側の「プリントさせたい」という意図は見えるものの、それによって受益するターゲットが見えず、うまいポジショニングの示し方も浮かんでこなかった。
筆者がまず、反応した「携帯電話の廃材(カメラ)を利用」という目の付け所は非常にユニークだと思う。だからこそ、もっとエッジの効いた訴求をして欲しいと思うのだ。
ターゲットとポジションの明確化は言うは易く行うは難しである。
他山の石としてその重要性を見直して見つつ、「エコデジカメ」の健闘を祈りたい。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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