知識で勝負しない力

2008.04.07

仕事術

知識で勝負しない力

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

昨年末から、「地頭力を鍛える」という本がよく売れているようです。

本書では、思考力が高いことを「地頭力がいい」と呼び、その力を試したり鍛えたりするツールとして、「フェルミ推定」というものを紹介しています。
このフェルミ推定とは、仮説やフレームワークなどでロジックを押さえながら、分かっている情報だけで、前提条件を置きながら、「部分→全体」、「全体→部分」を推測し、結論(仮説)を導き出すといったものです。 

これは、コンサルティング会社の面接などでもよく使われているもので、解答者が単に答えを「知っていた」のか、それとも「考えた」のかを区別し、「考える力」を試すために有効です。 典型的な質問としては、「日本全国にマンホールはいくつあるか?」とか「東京都内に電柱は何本あるか?」などがあります。

私も以前コンサルティング会社にいた際、ITコンサルティング部門から、戦略コンサルティング部門に異動する際の面接で、このフェルミ推定でテストされたのを覚えています。その時の質問はたしか、「関東地方におけるペンキの需要はどのくらいか?」というものでした。 もちろん、ペンキの需要が何リットルかという答えなどが重要なのではなく、面接官もその答えなど知らず、その回答を導き出す思考プロセスが重要です。そのテストを受けながら、知っているか知らないかだけの知識を質問されるより、こういう質問の方がよっぽど有意義だなと感じました。 そして、面接官と前提条件のやり取りをしながら、その回答のプロセスを結構楽しんでいたのを覚えています。

当時、ある業界からコンサルティング会社に転職してきた人がいました。当初、プロジェクトのクライアント先がその業界の企業だったので、業界知識が豊富だということで、その人は他のコンサルタントからも重宝?されて充実していました。 しかし、ひとたび他のコンサルタントが彼から必要な知識を吸収し終えると、今度は知識があるだけでは価値を提供し続けられなくなり、居場所がなくなってしまいました。 知識だけで優位性を維持しつづけることはとても難しいことです。 それより、知識をすばやく吸収する力と、思考能(脳)力を鍛え勝負すべきだなとその時感じました。

その後事業会社に移った際も、業務知識を出し惜しみする社員が何名かいました。その人たちは直観的に、
これまで長く携わってきた業務の詳しい知識を明け渡したら、存在価値が維持できなくなると感じていたのかもしれません。いずれにしても、「知っている」という知識だけで勝負し続けることは難しく、経験を通じて体得したスキルや、結論を導き出す思考力こそが生涯の武器となるのではないでしょうか。

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