仮想通貨9%の天井:あんなもの、トレカと同じ

画像: photo AC: jyugem さん

2018.02.06

ライフ・ソーシャル

仮想通貨9%の天井:あんなもの、トレカと同じ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/仮想通貨は、経済事象としてではなく、社会問題として見るべきだ。既存通貨、既存社会に対する反体制的ルサンチマン(怨嗟)こそが、かれらの仮想通貨への熱狂の根本にある。だが、かつての全学連の世界革命、近年のイスラム原理主義などと同様、遠からず91%の沈黙の保守層の反撃に叩き潰される。/

 なんやら、はやりらしい。「エバンジェリスト(福音者?)」とか言って、アム×ェイや×ッパーみたいに、やたら宣伝してるうさんくさいやつらも、ぞろぞろ。買わないヤツは乗り遅れる、って、それ、バンドワゴンの典型じゃないか。もう食傷気味。

 そもそも仮想「通貨」というところからウソくさい。教科書的に言うなら、近代の「通貨」は、①価値尺度、②支払手段、③価値蓄蔵、④交換媒介、という4つの機能のいずれかを満たさなければならない。ところが、仮想通貨は、尺度として不安定、支払として未確立、蓄蔵として高リスク、媒介として使えない。つまり、最初から通貨の条件を一つも満たしていない。それは、仮想通貨が普及過程だから、ではない。というのも、将来的にも、すぐに天井にぶち当たるからだ。

 たとえば、スマホゲームの課金率。じつは、ゲーマーの9%のみ。残りの91%は、これから課金アイテムを購入するだろう未開拓の市場、ではなく、スマゲごときで課金アイテムなんかに手を出さない課金絶対拒絶層。そもそも、スマホを持っていたって、ゲームなんかしないスマゲ絶対拒絶層がその上に存在し、さらにその上に、スマホなんか持たないというスマホ絶対拒絶層がいる。だから、スマホゲーム市場というのは、スマホを持ってゲームをやってしまう緩いやつらの、さらにその9%から、いかに高額を長期にヌラヌラとむしり取り続けるか、で成り立っている。

 追跡調査をしたわけではないが、いまの仮想通貨購入者は、ちょっと前までスマゲ課金者だったのではないか。さらに前は、連中は、小学校や中学校のころから薄暗いバトルコーナーにたむろっていたトレーディングカードコレクターだったのではないか。よく知られているように、仮想通貨購入者の多くは、無政府主義者、というより、既存の主流社会キャリアからドロップアウトして、カネの力での人生の逆転と社会の改革を夢見ている連中だ。もっとはっきり言ってしまえば、既存通貨、既存社会に対する反体制的ルサンチマン(怨嗟)こそが、かれらの仮想通貨への熱狂の根本にある。

 連中の気持ちもわからないではない。学校も、会社も、コネ入学、コネ入社だらけ。そうでなくても、親が金持ちで頭のいい子が、キャリアコースで先を行く。それで、ドロップアウトして、トレカ、ゲーム課金、仮想通貨。それでうまくいけば、ドロップアウターの仲間内から勝ち抜け。つまり、ドロップアウターの中ですら、さらにドロップアウトして、ツケを背負い込むやつらが大勢いてこそ、そいつらから、広く、うすく、うまく掠め取って、そこから這い出ることができるやつもいる。まさにピンキリを賭けた敗者復活戦。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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