今回のコラムは、差別化しても競合に顧客を取られる理由について、「カット野菜」を例にご説明する。差別化しても競合に顧客を取られるのは、差別化すればするほど「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」に分かれてしまうからである。なぜ、差別化しているのに「顧客を競合に取られる」のだろうか?その理由をご紹介した上で、効果的な差別化の手順についてご説明する。
目次
(1)差別化しても競合に顧客を取られる理由
(1-1)カット野菜の差別化
(2)取られてしまう顧客と取られない顧客
(3)取られない顧客をしっかり守る!差別化手順
(3-1)差別化手順1「顧客の課題を知る」
(3-2)差別化手順2「ターゲットを決める」
(3-3)差別化手順3「解決策を考える」
(4)まとめ
差別化しても競合に顧客を取られる理由
差別化戦略の定義をネットで調べると、下記のように定義されている。
差別化戦略(さべつかせんりゃく)とは、マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略のうちの一つで、特定商品(製品やサービスを含む)における市場を同質とみなし、競合他社の商品と比較して機能やサービス面において差異を設けることで、競争上の優位性を得ようとすることである。
参考サイト「Wikipedia 差別化戦略」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%AE%E5%88%A5%E5...
ご承知の通り、差別化戦略とは、競合に勝つために競合にはない特徴をつけていくことで、競争を優位にしていくことである。この定義をそのまま鵜呑みにすれば、「競合に勝つために差別化をする」ことになるが、現実問題、差別化をしても、競合に顧客を取られるということはなくならない。
なぜ差別化しているのに顧客を取られるのか?それは、決して差別化が失敗しているからではない。わかりやすい例を示しながらその理由をご紹介しよう。
カット野菜の差別化
あなたは「カット野菜」をご存知だろうか?あらかじめ野菜がカットされていて、すぐに調理に使えるという便利な商品である。このカット野菜は、カットされていることが強みの1つであり、差別化の要素にもなっている。カットされていない野菜と比較すると「便利さ」で差別化できているからだ。
しかし、ネットで調査すると下記のような声がある。
Yahoo知恵袋より(著者により一部抜粋)http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_d...
カット野菜を買ったり、鍋物メニューにするのは手抜きですか?私は28歳、4歳と2歳の娘を持つ専業主婦です。育児やいろいろな疲れで体がしんどく、なかなか手のこんだ料理ができません。それでも、子供たちに野菜を食べさせたいので、カット野菜を使ったり、献立を鍋物にするのは手抜きですか?
ここで注目すべきは「手抜き」である。カットしてしまったがために(強みを作ってしまったがために)、「手抜き」という弱みが生まれてしまっている。つまり、「カット野菜」=「便利だね」のように価値を感じる顧客と、「カット野菜」=「手抜き」のように価値を感じない顧客に区分されるのである。
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