ユトリ新人に怒ってもムダ

2015.04.13

組織・人材

ユトリ新人に怒ってもムダ

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/新人は自分たちの変な常識を職場に持ち込もうとする。それも、ユトリ世代は、少子化社会にあって、ゴリ押しでうまく世渡りしてきた。しかし、使えないやつは、勝手に不満を募らせ、どうせ自分から辞めて行く。それより、自分が新人に足を引っ張られないようにすることが大切。/

 信じられないことばかりかもしれない。おまえ、社会人にもなって、なんで遅刻してくるわけ? なんて、ぶち切れてみたどころで、二十分くらい、いいじゃないっすか、てなところ。いや、おまえ新人だろ、オレより先に来るのが当然だろ、と言い返しても、当然ってなんすか、先輩の方が先に来てるんだから、先輩が先に仕事を始めているのが当然なんじゃないんすか? と、やり返されるだけ。

 べつに新人が君をなめているわけじゃない。単純な文化摩擦。連中は、連中のこれまでの生活習慣を職場にそのまま持ってきただけ。君は新人の方が職場の習慣に合わせるべきだと思っているが、やつらは君の方が自分たちの常識に合わせるべきだと思っている。現実問題として、君には権限がなさすぎる。君が怒ったところで、新人をクビにできるわけじゃない。叱ったところで、連中はむしろ君の方が間違っていると確信している。本気になって、手なんか上げたら君がクビ。大声でどなっただけでも、パワハラだ。かといって、このままだと、新人の指導係として君の評価に係わる。君はもう八方ふさがり。

 だが、これは、いつの時代にも繰り返されている新人の世間知らずとはわけが違う。ユトリ世代の連中は、子供のときから、そうやって無理のゴリ押しで生きてきた。自分ことだけで手いっぱいの親は、子供のことなんかほったらかし。問題だらけで手に負えない学校も、見て見ぬふりで先送り。屁理屈で強硬にゴネていれば、相手の方が折れ、問題そのものまで揉み消してくれるのを、彼らはよく知っている。学生時代のバイトも、すっぽかそうと、デタラメしようと、慢性的な人手不足で、店長の方が御機嫌取り。少子化社会というのは、こういうこと。一人っ子政策の中国の「小皇帝」「小皇后」と同じことが、日本でも社会的に自然発生した。

 戦後復興期の生産拡大にも、団塊世代の中卒単純労働力が「金の卵」としてチヤホヤされ、ちょっとでも気に入らないことがあると、すぐに集団就職の職場から失踪。都会には他に働くところがいくらでもあったからだ。当時の離職率は20%を越え、彼らは単純によりよい待遇を求めて仕事を渡り歩き、熟練技術を習得することもないまま、73年のオイルショック不況の自働生産の合理化で放り出され、使い捨てになった。

 おそらく、今後の日本経済でも同じことが起こる。生産性の低い、それどころかムダに人事管理コストの高い現在の若年層の単純労働力は、遠からず技術革新によって置き換えられる。連中が使えなければ使えないほど、接客や販売、サービスにおけるコストダウン・イノヴェイションの開発と投資が割に合うものとなり、利益率を飛躍的に向上させるものとなるからだ。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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