「学業不振」は死の兆候

2015.02.24

ライフ・ソーシャル

「学業不振」は死の兆候

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/いまどき単位が取れないのは、学校でなにかやらかしたから。教室外のなにかのトラブルに巻き込まれている危険性がある。きちんと問題を解決しないと、たとえ学校を辞めても、トラウマが本人の心を蝕み続け、社会生活、さらには人生さえも辞めることになる。/

 この時期、成績が出てくる。親にも送られるだろう。あまり芳しくないこともあるかもしれない。息子や娘に問い質せば、学校がつまらない、勉強に関心が持てない、進路変更したい、と言うだろう。だが、言葉の意味を真に受けるな。もっと問題は根深い。

 学校が期待はずれだった。退学するにも、そんな風に学校のせいにしておく方が世間体もいいだろう。だが、退学したとしても、本当の問題はなにも解決していない。大半の学生は、きちんと単位を取って、ふつうに卒業していく。その意味で、「学業不振」の学生の本当の問題は、本人にある。たとえ学校を辞めたとしても、本人は本当の問題を引きずっている。未解決のままトラウマ(心傷)になっており、その後も本人を蝕んでいく。そして、学校だけでなく、社会生活から、さらには人生からも退却して、引き籠もりや自殺へ。

 昨今、文科省も、留年にはうるさい。だから、いまどき単位を出し渋る教員などいない。講義も試験も、学生の水準に合わせている。だから、よほどのことがないと、単位を落とすなどということはない。つまり、単位が取れないとすれば、それは、どうにもこうにも学校が単位を出すわけにはいかないような、よほどのこと、を、学校でやらかした、ということだ。

 単位を落とす、もっとも多い理由は、出席不足だ。半期15回の2/3以上の出席が無いと、評点の対象にならない。診断書を何枚も持ってくる学生がいるが、出席停止が義務づけられた法定伝染病でもないかぎり、そんなものがあっても、欠席は欠席。病気やケガ、事故には同情はするが、そもそも、そんな個人情報など、教員としては関わるわけにはいかないし、まして出席回数の改竄などするわけにはいかない。同様に、就職活動も、欠席は欠席。一般教養の単位もまともに取れてないくせに、かってに「卒業見込」を名乗って企業訪問をしているやつは、自分の現実を見ておらず、たいてい卒業もできない。

 しかし、出席不足、というのも、じつは問題の根が相当に深い。慣れぬ一人暮らしのせいで、ただ昼夜のリズムが乱れている、というだけなら、まあいい。良くない連中と良くないところに出入りしている、もしくは、心身の病気にかかっている可能性もある。学校ぼっち、というのも、ただ周囲と話が合わないのか、イジメや差別を受けているのか、それとも、鬱病や統合失調症で、人と関わり合う気力が失われているのか。

 突然にぷっつりと出席が途絶えるのは、おうおうに人間関係の激烈なトラブル。恋愛沙汰で修羅場になったとか、サークルやアルバイト先の先輩後輩、ゼミ仲間とケンカになったとか、さらには、騒いでいるのを注意した教員に逆ギレしてガンぐれ、呆れられて、捨て台詞を吐いて遁走した、とか。自分で謝りにいけばいいのだろうが、それが出来ずに、学校生活そのものから逃げ出す。出会い系でチンピラの美人局(つつもたせ)に引っかかった、わけのわからない英語教材やオカルトの通販で、とんでもない借金をこさえた、なんていう話も聞いたことがある。実際、変な団体とか、ストーカーとか、ブラックバイトとか、ややこしいやつらは、ウブな学生を標的に、学校のまわりにうろついており、本人のせいでなくても、こういうのにいったん目をつけられると、とても始末に悪い。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

フォロー フォローして純丘曜彰 教授博士の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。