学歴は家庭環境

2015.01.11

ライフ・ソーシャル

学歴は家庭環境

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/いまどき学歴=頭の良さではない。人権云々で問えなくなった人物の生育環境や家庭背景の良否が学歴として注目されてしまっている。世界的に格差社会が進行しつつある以上、中高生でも、人生の戦略として、学校選びは自分で慎重に責任を持つべきだろう。/

先回の記事は反響が大きかったが、的外れのコメントの多さにも驚いた。オレの大学の方が頭がいいんだから、もっと就職できて当然だ、というような話は、時代の流れを完全に勘違いしている。いま、学歴は、頭の良さ悪さではなく、その人の生育環境、家庭背景を表している。だから、やっかいなのだ。人権云々がうるさくなって、就活などでは、家や親のことは直接には質問できなくなった。ところが、日本では、学費を親が出すのが当然のせいで、どんな学校を選んできたか、という学歴で、家庭が丸見えになってしまう。


昔のように完全公平な一般受験のみなら、学歴=頭の良さだろう。だが、私立の学園は、いわゆる「下から上がり」だらけ。そもそも私立の学園は、受験指導校などという方が例外的で、一般には生活指導の方に重点が置かれている。だから、受験を乗り越えて外から入ってくるやつらほど、頭がいいわけがない。ところが、就職や結婚では、大学入りより下から上がりの方が評価が高い。まして、純白・純金・純聖などの女子ともなると、もともと下から上がりの学力レベルもかなり高く、就活・婚活など、自分でムリをするまでもあるまい。ほっておいても、いくらでも向こうから良職、良縁がやってくる。


とはいえ、下から上まで私立の学園に入れておくのも、容易ではない。なにしろ大学卒業までの累積学費が半端ではない。だが、それだからこそ、それだけ子供にカネをかけられる家庭環境の証拠でもある。そのうえ、幼稚園や小学校では、本人の試験はもちろん、親の面接もある。学園の方も、工夫を凝らし、そのときだけの口頭のとりつくろいでごまかせないような日常のしつけのチェックはもちろん、季節の行事の話、休日の家族の過ごし方、盆暮れの縁戚との付き合いなどを、さりげなく質問。就労能力しか聞いてはいけない採用試験より、はるかに厳しい。幼稚園から、このチェックを何度もくぐり抜け、大卒までそつなく上がってきた19年間の実績となると、たかだか就活の15分面接などとは信用としてケタが違う。だから、ムリをしてでも、なんとか下から私立一貫校に入れたい、という親が続出する。その一方で、公立校は、子供の教育に無関心な家庭の、一種のネグレクト児童が吹きだまり、校風が荒れて、さらにまた私立熱が高まる。


相当のムリをしても、せめて大学だけは私立のお坊ちゃま・お嬢ちゃま学校に入れてやりたい、というのも、親のひとつの大きな選択、悲願だ。芸術系も、似たようなもの。もちろん、地方国公立やマンモス私立よりは、はるかに学費・生活費は高くなる。だが、有名激戦企業に入って一生を出世競争に明け暮れ、やがて敗退し放逐される息子や娘の哀れな姿を見るに忍びないのであれば、育ちのいい連中の人づきあいやセンスこそを学ばせて、大手でなくても、そこそこの安定企業で幸せになってくれれば、と望むのも当然。おまけに、こういうところには、なかなか羽振りがいい世襲の中小商社などの息子や娘も多くいて、親しい学友をいっしょに親の会社に誘い込むなんていう話は、かなり頻繁に聞く。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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