地歴ロンダに騙されるな

2014.09.06

経営・マネジメント

地歴ロンダに騙されるな

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/不動産業界は、土地を売るのが仕事で、都合の悪いことは、なんでも隠す。しかし、連中が隠したことの中には、自分と家族の命に関わる問題も少なくない。/

 南向きひな壇、隣は公園、高台で眺望良好。などという土地の出物があったなら、変だと思った方がいい。そんな良物件は、むしろ、ワケあり、を疑った方がいい。そもそも、日本で売買されている「土地」の大半は、古い洪積台地か、新しい沖積平野。前者は地形浸食が進んでしまっており、後者は地盤軟弱な元田んぼ。だから、崖崩れか、洪水かの二者択一のリスクがある。

 まず問題なのが、地名ロンダ。「沢」や「沼」「窪」のような漢字が残っていれば、わかりやすい。ところが、漢字を入れ替えた地名が少なくない。たとえば、「梅」「八」のもとの字は、埋、谷。「木」も岐で、いつくもの山筋谷筋があるところ。浸食崖、崩壊崖を意味する「釜」「倉」なども、「鎌」や「蔵」に変えられている。まして、なんとかヶ丘、なんていう地名は、まさに造成地。多摩丘陵や泉北丘陵など、日本の浸食の進んだ洪積台地は、尾根と谷が入り組んだいわゆる里山地形になっているところが多く、それを80年代にニュータウンの大規模造成でのっぺした。こういうところは、同じ住宅地内でも、尾根筋の削ったところと、谷筋の盛ったところで、露骨に災害被害の差が出る。

 過去の地歴を調べるのに便利なのは、地理院地図(電子国土web、http://portal.cyberjapan.jp/) 70年代以降の写真や明治前期の低湿地なども、半透明のレイヤーにして、現在の地形と比較することができる。70年代以前のもっと古い航空写真となると、同じく国土地理院の地図空中写真閲覧サービスがある。(http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do)ここなら、戦前の都市部地形図さえも確認できる。埼玉大の谷先生のサイトも、都市部のみながら、明治時代からの地図を重ね合わせることができて、すばらしく便利。(http://ktgis.net/kjmapw/index.html)これらのサイトは、不動産の売買、家の新築改築、災害時の避難の前に、よくよくチェックしておくべきものだろう。

 学校や公園の近く、というと、「文教地区」として環境が良い、と思うかもしれない。だが、災害歴のある厄介な入会地をうまく市に売却したとか、新興住宅地の谷筋埋め立てで地盤強度が無く、グラウンドぐらいにしか使えないとか、問題があるところもある。そうでなくても、学校だの、公園だのの周辺は、朝はともかく夕方からまともな人通りが途絶え、物陰に落ちこぼれのワルやOBがたむろって、バス停からの夜道の治安は最悪、ということも。むしろ夜遅くまでやっている塾や病院の近くの方がまし。同様に、県営団地、市営住宅などがある周辺も、事情をよく調べてみた方がいい。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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