経済成長による貧困破綻

2013.08.29

経営・マネジメント

経済成長による貧困破綻

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/戦後西側の資本主義経済は、利権のオコボレという「濁流スキーム」だった。しかし、グローバル化でカネの流れがとどこおってくると、現代の金融システムは、中世ユダヤ人によるキリスト教徒潰しという古い憎しみの構図を露呈させ、「我々の社会」を分断してしまっている。/

 閉鎖システムの中であれば、経済成長は、そのシステム全体を潤す。だが、いまはグローバル経済だ。国内の貧困層からまで高税を搾り取って政府が事業を行っても、そのカネは世界へ流れ出て行く。空港に並ぶ海外旅行客の列を見ればわかる。もっと金持ちは、日本の仕事をしながら、利益は海外に移していっている。水車を回そうと無理に地下水を汲み上げても、汲み上げた水は、外に流れ出て行って、ひたすら地盤沈下を起こす。

 経済倫理の問題だ。米国をモデルにした戦後西側の資本主義経済とやらは、ずるい利権で甘い汁を吸うやつらがいても、末端までオコボレがいくなら、だれも文句を言うまい、という「濁流スキーム」でやってきた。そして、実際、それが共産主義国家より、うまくいった。だが、そのオコボレとやらが外に流れ出てしまうようになると、遠からずこの濁流すら細り止まる。それがわかっているから、持てる者は我先にカネを国外に持ち出し、事態を急速に悪化させていっている。

 どこぞの愚かな差別主義者が「イスラム諸国で唯一、人々が共有しているのはアラーだけ。互いにけんかばかりしていて、そのうえ階級もある」などと口走って大ごとになったが、それは何十年も昔のイスラム世界に対する偏見だ。イスラム世界が大富豪と貧困層に分かれていたのは、イスラム法で金利が禁じられ、親族金融によるしかなかったから。1990年代以降は無金利銀行のシステムが確立され、一般市民の生活と文化が劇的に向上した。これは実質的には投資に近い仕組みで、貸出先の諸企業の総利益を6分割し、企業4・銀行1・預金者1に再分配するもの。このシステムによって、企業が銀行の固定金利に搾取されることなく、また、預金者は銀行のポートフォリオによって堅実に社会成長のきれいなオコボレに預かることができる。彼らこそ、アラーが作った国際的なイスラム社会をきちんと共有している。

 国際金融市場をぎゅうじるというユダヤ人たちも、きちんとユダヤ教本来の金融システムを展開してくれていたなら、世界はこんなことにはなっていなかった。律法によれば、シェミッター(安息年)の7年目ごとにすべての負債は帳消し。その年までに返済してくれないと貸し倒れになってしまうのだから、相手が返せないような無理な貸し出しはしなかった。ただし、それはユダヤ人の社会の中でのみの話。イェルサレムの地を追放され、キリスト教徒に差別されるようになって、その仕返しに、キリスト教徒には際限なくカネを貸し付け、金利で金利を生んで破産に追い込み、担保の全財産を総取りする、そうしていつかキリスト教徒の世界支配を終わらせる、という経済戦争的な金融思想が生まれた。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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