スマホこそ仕事の障害

2013.04.25

IT・WEB

スマホこそ仕事の障害

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/連絡、計算、折衝は、パソコンのオフィスツールと電話で充分。スマホの出番はない。そもそも電話したら見えない、見たら電話できないスマホのデザインは、ヒューマンインターフェイスとしても最悪の欠陥品。だが、アプリ販売に収益依存する通信会社は、そのビジネスモデルを捨てない限り、次のパラダイムへ進めなくなってしまっている。/

 近代の自由契約のビジネスは、連絡、計算、折衝で出来ている。それゆえ、パソコンが登場して一世代二十年で、仕事に必要なツールは、結局、アウトルック(メール&予定表)、エクセル、ワードに淘汰された。あとはせいぜい見栄えのいいパワポとビッグデータが扱えるアクセス(データベース)で充分だろう。ただし、連絡や折衝では、先方の微妙なニュアンスを読み取る問題があり、こうなると、出張して直接に会う、せめて電話の受け答えを肉声で行う必要が出てくる。

 問題は、その電話だ。携帯になって直接に相手に繋がる機会は増大した。だれかに伝言を頼むくらいなら相手への直メールの方がいい。しかし、いずれにせよスマホは必要性がない。もちろん、ハンディパソコンとして、地図やデータベースの読み出しをする、という使い道はないではない。ところが、実際をみてみろ。ビジネスマンのくせに、スマホに入れているアプリは、仕事に関係のないガラクタばかりじゃないか。そんなゴミと戯れているヒマがあったら、顧客に電話の一本、メールの一本でも入れろよ。

 さらにまずいのは、スマホのせいで、通信会社のビジネスモデルがおかしくなってきていること。ネットやメールによって、ビジネスとしての通話は頭打ち、それどころか減少傾向にある。私的にも、娯楽の多様化で、以前より長電話は激減している。かといって、データ通信も、動画の垂れ流しでもしないかぎり、そうそう増えない。そのため、かつてのゲーム専用機に代わって、スマホがガラクタアプリを販売するためのプラットホームになってしまった。ここに、ビジネスソフトでMSの独占標準化に惨敗した連中、ゲーム専用機でのメガヒットゲームが出せなくなった連中が大量流入。いりもしないあれやこれやをオバカな顧客にムダに売りつけることで、通信会社も、アプリメーカーも、かろうじて命脈繁栄を保っている状態だ。

 もともとスマホというものが、ヒューマンインターフェイスのデザインとして、スマートどころか、あまりにオバカすぎる。あれを耳に当てていたら、画面が見えない。画面を見ていたら、電話ができない。本来であれば、下敷のように超軽量の視覚的な資料表示用タブレットパソコンと、メール読み上げ機能付きの聴覚的な「腕電話」に二つに分離連動して発展すべきものだろう。そして、さらには、ウェアラブルな「メガネ電話」として、視覚と聴覚に直結するものとなるだろう。ところが、いま、そうしようとすると、半端な液晶画面のスマホでムダなアプリを大量消費させて儲けるという現行ビジネスモデルを放棄しなければならなくなる。ここでは、顧客の利便性の向上と企業の収益性の向上がバッティングしてしまっていて、次のパラダイムに進めない。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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