就活は営業

2013.04.21

ライフ・ソーシャル

就活は営業

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/きみは企業説明会のお客様ではない。きみを買うかどうか迷っているのは企業の方だ。就活以前に売るべきものを仕込み、相手の需要を理解して、自分こそそれであることを示してこその営業。だが、飛び込みは断られて当然。仕事に取り組むタフさが就活で問われている。/

 エントリーシートがしんどい、説明会に行くカネや時間がもったいない、等々の就活学生のグチを聞くと、なにをいまだに温いことを、と思う。就職したって、毎日がそんなものだ。お客なんて、買ってくれるかどうかわからんに決まっている。だが、わからんからこそ、直接に足を運んで、売り込みをするんだよ。

 就活は、自分を売る人生最初の営業活動だ。きみの志望企業かどうかなんて、どうでもいい。重要なのは、相手がきみの需要企業かどうかだけだ。相手が自分を欲しいと思ってくれてこそ、内定をもらえる。売り込みを成功させるには、相手の企業がどんな人材を求めているのかを調べ、それがまさにこの自分であることを示さないといけない。なのに、入りたい、入れてください、お願いします、ばかり。それどころか、いきなり、ぼくは企画志望だから、とか言うバカまでいる。だが、顧客側のニーズもまともにつかめていないようなやつに、企画の仕事なんかできるわけがない。

 長年の客ボケとしか言いようがない。ガキのころからデパートやレストランはもちろん、学校や病院でさえ「お客様」としてチヤホヤされ続けた結果、就活でも、高い交通費をかけて説明会にまで行ってやるんだから、自分の方がもてなされて当然、と勘違いしている。だが、立場は180度違う。きみを買うどうか迷っているお客様は、企業の方だ。そこで相手をもてなすべきは、きみの方だ。なのに、お客様の状況や需要も調べず、気に入ってもらえるようなネタも持たずに手ぶらで営業の席に着くようでは、話にならない。

 そもそも売る商品があるのか。独学で簿記2級を取りました、とか、一年間の語学留学で英会話に不自由しません、とか、就活以前に、売れ筋の商品を仕入れておくのは当然。なにひとつ売るべきものも無しに、営業にだけ来られても、来られた方が困る。いるだけの人材なら、いまやどこでも内部に中高年が有り余っているのが実情だ。若手だかなんだかしらないが、二十年も生きてきて、なんのウリも身に付かなかった、すでに完全不良債権の人材を、この以上に引き受けるようなおめでたい企業は絶対にどこにも無い。

 これというウリがはっきりとあるやつは、十も、二十も、あちこちから引く手あまた。こうなってこそ、どこでも、自分の行きたい企業を自分で選べる。一方、内定をもらえないやつは、完敗。というより、どこの企業からしても、そもそも最初から存在していなかったも同じ。なんのウリも無い、まったく必要としていないのだから、落とした、とさえ思っていない。グチをほざいても、ゴマメの歯ぎしりにもならない。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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