地方赴任したら何もしてはいけない

2013.02.28

仕事術

地方赴任したら何もしてはいけない

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/地方に期待しても、キミは悪役外国人レスラーとしか思われていない。連中には連中の絶対固定の序列があり、報復を恐れて、だれもそれを動かすことを望んではいない。短期的に搾取して成果を踏み台に中央返り咲きを狙うか、さもなければ何もしない方がまし。/

 春から新生活。ゴミゴミした都会を離れ、自然も豊かで、通勤知らずの地方都市に赴任するという人も多いだろう。だが、行っても何もするな。連中はかなり面倒だ。

 第一に、キミは中央での敗北者、都落ちの左遷と思われている。地位肩書がどうあれ、連中からすれば、キミは、地元のトップより下。田舎国体に見られるように、連中は、外のやつを呼んでおいて、こてんぱんに叩き潰し、地元の強さ、すばらしさを確かめないと気が済まない。戦争疎開で都会の転校生がイジメられた時代からまったく進歩していない。そこでのキミの役は、地元のトップとやらに叩きのめされる悪役外国人レスラーだ。

 第二に、キミ自身がどう思っていようと、キミにとって地方が中央に返り咲く踏み台にすぎないと思っていると連中は思っている。実際、地元出身を売りものにして当選した有名人県知事たちですら、その後も地元に残って尽くしたやつなど、ほとんどいない。それどころか、任期も早々に切り上げ、さっさと中央に戻ってしまう。

 第三に、地元には絶対固定の序列がある。高校でも、デパートでも、住む地域でも。キミがはりきって赴任先の成績を伸ばし、上位に押し上げたりしたら、押し上げられた支社の従業員たちですら、居心地が悪くなり、ひたすら当惑する。おー、偉くなったもんやなー、ついこないだまで、はいつくばって、買ってください、買ってください、言うとったのに、てな、嫌みをどこかしこで浴びせられる。そんな支社の従業員の家族が近所のスーパーで牛肉を買っただけでも、すぐにウワサになる。田舎とは、そういうところ。

 なにをこの時代に、と思うだろうが、とにかく驚くような閉鎖的旧弊体質は厳然としてある。もちろん、損得勘定でスレていない、地方ながらの人のいい人もいる。こんな体質は、いいかげんもう変えてほしいと思っている革新的な人もいる。だが、だれもかれも、自分では何も始めない連中だ。水戸黄門みたいなのがやってきて、なんとかしてくれないだろうか、と他力本願。いや、それだって、ほんとうは困る。というのも、黄門さまが帰ってしまった後には、反動で、もっとひどい報復をされるのがわかっているから。とにかく現状のまま、なにごとも無いのが一番いい、というのが、すべての人の共通意見。

 こんなところへ行って、キミがはりきってみたところで、みんな掛け声だけ。キミひとりが空回りするだけ。いっそ開き直って、XX運動とか、OO宣言とか、資産売却経費節減、環境ボランティア、など、大胆極端なスローガンを度派手にぶち上げ、過去が積み上げてきた資産と人材の蓄積から短期的な成果を一気に絞り出し、とっとと退散するのも手。そんなの、長期持続可能な戦略ではないのはわかってはいるが、後は野となろうと山となろうと、どうせ結局は地元連中の自己責任。一時でも中央から注目されれば、その結末も知らず、連中もその気になって喜ぶ。そして、インチキがばれるころには、また次のやつが来て、また別の搾取で騙くらかすから、恨み辛みを言われるいとまもあるまい。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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