くじを買うほど運が無くなる

2013.02.16

ライフ・ソーシャル

くじを買うほど運が無くなる

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/くじが当たっても、当たったのはくじで、あなたではない。かりに勝っても、それは売り物の嘘。嘘が膨れるほど、現実がしぼむ。博打にカネを使うのは、妻や子、孫、友人知人を裏切るのと同じ。だから、あなたは、絶対に幸せにはなれない。/

 夢を買う、などと言うのは、売り手の側の嘘。逆だ。ほんのわずかとはいえ、せっかく苦労して手に入れた貴重な現実を、あなたは自分でドブに捨てている。だから、あなたは絶対に幸せにはなれない。たとえくじが当たっても、当たったのはくじであって、あなたではない。だから、そのカネは、すぐにあなたの手元から逃げていき、二度と戻っては来ない。そんなことを続けているかぎり、あなた自身は絶対に幸せになれない。

 パチンコは、もっとタチが悪い。あれは、大半の客は、基本的に勝つようにできている。だから、みんなはまる。人生の敗北者たちを大量にかき集め、見せかけの「勝ち」を味合わせる商売。出玉率が100%以上でも、客の数さえ多ければ、スーパー並みの景品の仕入れ値との差で、店は絶対に儲かる。つまり、スーパーで同じものを買ったらずっと安く買えるのに、わざわざパチンコ台の前でムダに時間をかけ、法外な差額を払い、ニセものの、勝った、という気分をカネで買っているだけ。どんくさいオヤジが夜の風俗店で高いカネを払っておべんちゃらを言ってもらって、モテている気分を味うのと同じこと。これらは全部、売り物の嘘だ。そして、嘘が膨れるほど、現実がしぼむ。

 昔、江戸の大店に馬鹿息子がいた。金使いが荒いので父親が咎めたが、いっこうに従わない。そこで、早起きすれば、店の前の道にカネが落ちているかもしれない、拾ったカネなら、ワシの小言など聞かずに、いくらでも自分で好きに使えるぞ、と教えてやった。そいつはいい、と、馬鹿息子は夜遊びも早々に切り上げ、毎朝、毎朝、早起きすることにした。だが、昨日も、今日も、明日も、銭一文すら落ちてはいなかった。

 金持ちにとって1万円など鼻紙程度のものにすぎないかもしれない。だが、自分自身の現実を見てみろ。貧乏人にとっての1万円がどれだけの重さか、よく考えてみろ。その1万円があれば、妻や子、孫、友人知人をどれだけ喜ばせることができるか、その顔を思い浮かべてみろ。それを紙切れに変えてしまうのは、家族や友人を博打のカタに売り渡すのと同じ。たとえそれで当ったとしても、そんな仕打ちをしたあなたの元に、家族や友人の心は絶対に戻っては来ない。あなたは楽しいかもしれないが、まわりはすこしも楽しくはない。それどころか、そんなあなたがこの世にいるだけでも不愉快に思っている。

 孫子も言う。絶対不敗の必勝法は、勝負をしないこと。いい年をして、この世の中が最初から不公平にできていることさえ知らないのか。物事を始める前から優遇されているやつらがいて、微妙にうまく連中が勝つように作られている。くじは、胴元が絶対に勝つ。パチンコは、店が儲ける。あなたは、足を踏み入れた時点で、負けが決まってしまう。それがわかっていて、なにもわざわざあなたが連中のカモになりに行く必要はあるまい。強制されているわけでもないのだから、近寄らないのが、一番の得策。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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