組織の決め手は副社長

2013.01.25

組織・人材

組織の決め手は副社長

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/会長が社長をバックアップしても、副社長はもとは社長の同僚。担ぐどころか引きずり下ろそうとするかもしれない。子分たちまでは譲り受けることはできない。上に登るなら、あらかじめ自分自身の子飼のチームを準備しておかなければならない。/

 お山の大将を自称するやつは、いくらでもいる。だが、いまどき、なんの後ろ盾も無しに、大将ぶっても、世間は相手にしない。しかしまた、後ろ盾だけに頼って、大将ぶってみても、これまた薄ら寒い。

 この問題は、組織トップの世代交代で頻繁に起こる。社長が取締役の一人に地位を譲り、自分は会長として彼をバックアップする、と宣言する。で、それだけでうまくいくか。鍵になるのは、新副社長の挙動だ。彼もまた社長を支えるのであれば、以下、その他の取締役や取引先も、新社長を中心にうまくまとまっていくだろう。

 ところが、副社長というのも、ついこの前までは取締役として現社長と同格。前社長、つまり会長の子分であっても、現社長の子分ではない。それどころか、現社長が早々にしくじってくれさえすれば、むしろ自分が取って代わって社長なれる、と思っている。こんなやつが、元同僚の新社長を担ぎ上げたりするだろうか。

 これが世襲であると、もっとまずい。副社長ほかの取締役たちは、みんな若社長より年上だ。現会長の引き立てがあってこそ自分たちは今の地位に昇ったのであって、若社長の世話になった覚えはかけらも無い。それどころか、この未熟な若造の世間体を取り繕うために、さんざん尻ぬぐいをさせられてきた。恨みこそあれ、これ以上、世話を焼いてやる義理もあるまい、ということになる。

 二君にまみえず、と言えば聞こえがいいが、その根にあるのは、前社長に対する忠誠というより、新社長に対する嫉妬。新社長を担ぐどころか、あいかわらず会長だけを持ち上げ続け、わざと新社長が失脚するように周囲を画策するかもしれない。その妙な動きを、前社長である会長自身が黙認していて、最初から自分が実権を握り続けようという魂胆かもしれない。

 そうでなくとも、こういう新社長周辺の不和を見ると、会長も心がぐらつく。もしかしてあいつに社長は無理だった、まだ早かったのではないか。それで思わず現場に手を出してしまう。こうなると、いよいよ求心力は前社長、つまり会長の方に戻っていく。副社長以下、取締役たちは、現社長を飛び越し、会長と直接に相談してすべてを決めるようになる。社長は、はしごを外された形となり、社内で孤立。有名無実の存在となる。

 しかし、もとはと言えば、会長の力添えで昇格し、会長が苦労して集めた子分たちまで譲り受けて地位を固めようなどと甘く考えている社長が悪い。自分自身の子分を持たない社長など、もともと有名無実なのだ。トップになろうというのなら、あらかじめ自分自身で社内外から自分を担いでくれる子分たちを集め、彼らをまるごと引き連れて、チームとして上の地位に登るのが筋だ。もし古顔の副社長たちの挙動が怪しければ、社長になってすぐに、副社長を含む元の同僚たちを外に追い出して、自分自身の子飼たちを新副社長などに据えた方がいい。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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