週刊朝日を図書館や病院、書店から排除しよう!

2012.10.18

ライフ・ソーシャル

週刊朝日を図書館や病院、書店から排除しよう!

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/言論の自由は、人権を超えるものではない。今回、その蹂躙が公然と行われた。そして、人権問題に傍観の余地は無い。公的な図書館や病院、一般の書店がこれを放置するなら、それは差別側と同じだ。出版社が言論の自由を濫用するなら、読者の側にも、売らず買わずで潰す正義がある。/

 言論の自由は、他者の人権の前で終わる。ジャーナリズムを標榜すれば、なにを言っていい、どんな記事を載せてもいいわけではない。こんなことは、ジャーナリズムの基本中の基本だろう。それとも、週刊朝日編集長のカワバタ氏は、出自がマンガ担当で、こんな基本も知らなかったのか。

 もちろん、私的なジャーナリズムが、特定の政治的立場を支持することはかまうまい。個々のジャーナリストが、公職にある人物ないし公職を目指す人物の人間的な資質を問うのも、当然のことだ。しかし、それを公表掲載するに当たっては、当然にまず相手の人権こそが尊重されなければならない。

 そして、今回、その蹂躙が公然と行われた。これは、もはや当該の政治家の賛否、好き嫌いの問題では無い。たとえ、どんなにイヤで嫌いな人物であっても、その人権侵害は、社会として絶対に許してはならない。まして、公的な図書館や病院が、特定の政治的立場を支持したり、個人の人権を踏みじるような雑誌を定期購入しているとなると、これは公費の使い道として大いに問題がある。

 あの記事を読んで、むしろ執筆者および編集長の人間性を疑わない者はおるまい。いや、けっして出自差別ではないのだ、あくまで人となりを劇的に浮かび上がらせるための手法にすぎない、などと言うのだろうが、そういう言いわけは屁理屈の域を超えている。とくに、パーティ参加者の九十歳の老人の異様なDNA論をわざわざ引用することで、自分の言を用いず、自分の説を読者に臭わす手法などは、物書きとして卑怯千万としか言いようがない。あれをやってジャーナリズムを名乗るとは、なんともおこがましい。

 週刊朝日を発行している朝日新聞出版は、朝日新聞社とは別媒体だ、などと言うが、それこそ「血脈」からすれば、歴史的にも、人事的にも、資本的にも、所在地も、真っ黒100%支配のグループ内完全子会社で、こういう会社は報道の常識として絶対に「別媒体」とは言わない。これまでにもいろいろ事件はあったにせよ、歴史と伝統ある全国新聞社において、これほどジャーナリズムとしてあってはならない種類の文章が子会社で平然と掲載された責任を、出資する親会社の朝日新聞はどのように考えているのか。靴底をすり減らして取材し、徹夜で議論して記事を徹底して磨き上げてきた多くのOB記者たちは、この問題を身内の不祥事として無言で見過ごすのか。

 たしかに文章の理解や感じ方は、人それぞれだろう。だが、いかなる書籍や雑誌を買い、いかなる文章を読むかは、読む側にこそ、自由があり、責任がある。そこに見識が問われる。さて、全国の公立の図書館長、病院長。いま、あなた方自身の人格も問われている。イジメと同様、人権問題で傍観の余地は無い。今日、週刊朝日を読んで、それを公的な機関で置いておいてよいか、それとも、それを撤去し、購読を止め、他の雑誌に変えるべきか、真剣に考えてほしい。各書店の店長もそうだ。鹿島さん、高井さん、工藤さん、日本の出版文化において、こんなことが許されていいのか。見て見ぬふりをして、こんなもので穢れたカネを儲けるなら、この執筆者や編集長と同類ではないのか。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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