ストローアートと『とくダネ!』の人権侵害案件

2012.06.28

ライフ・ソーシャル

ストローアートと『とくダネ!』の人権侵害案件

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

『とくダネ!』がストローアートをくさした、といって、当銀美奈子女史がBPOに人権侵害だと申し立てた。だが、そもそも女史はプロで「街角の芸術家」ではない。とはいえ、女史は、ストローアートをかつてホビーと認めていた。こんなの、どっちもいいかげんにしろよ。BPOももっとやることがあるだろ。

 2012年1月9日、フジテレビ系列の『とくダネ!』で、「知られざる街角の芸術家」として紹介された当銀美奈子女史がBPO(放送倫理・番組向上機構)に申立を行い、6月19日、審理が行われた。申立は、「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」というもの。来月も双方からのヒアリングというが、さて、アートと人権、ねぇ。。。

 このコーナーでは、ストローアートの当銀女史の他、バナナアートの山田恵輔氏、ノリ弁アートの西岡千恵理女史、石細工アートの伊藤博敏氏の四名が紹介され、スタジオトークで言いたい放題。その中で、キャスターの小倉智昭が、伊藤氏以外は「趣味の域」とコメントした。

 なんでこんなことになるのか、というと、「キャスター」なんてったって、実際はただの司会者で、放送内容に関してスタッフ丸投げで、きちんとした事前の打合せをしていないから。本来、キャスターは、企画会議の段階でネタを取捨選別し、採り上げ方、取材の仕方も含めてスタッフに指示する番組の総責任者。だが、日本の場合、一般に、化粧をしながらおべんちゃらとともに今日のネタの説明をスタッフからざっと聞き、ふんぞりかえって最後にスタジオ入りして、ただ好き勝手に言い散らすだけ、ということが多い。これじゃ、ゲストコメンテーターと大差ない。(小倉がどうかは知らんが。)

 そもそも「知られざる街角の芸術家」ってったって、当銀女史とか、伊藤氏とか、作品展もやっているし、本も出ているし、独創性もあるし、この業界では国際的に知られているプロだぜ。スタッフやキャスターのおまえらが知らなかっただけだろ。だいいち、おまえら、知っている日本の現代芸術家なんているのかよ? こんな二人を混ぜ込んで「街角の」ってのからして、もともとヤラセじゃん。少なくともこの二人に関しては、もともとまちがいなく「街角」のアーティストじゃない。

 じゃあ、当銀女史の申立が全面的に正しいのか? 第14回ホビーショーで、文部科学大臣賞を取ったのは、さて誰だったのか? これじゃ、自分で、自分のやっていることはアートじゃなくてホビーだ、って認めていたも同然じゃん。ストローアートはアートだ、シロウトの趣味の域と一緒にされちゃ困る、と言うのなら、最初からそんなシロウト向けの趣味の域に応募して、最高大賞なんか取るなよ。いや、その後に腕が上がって、とかいう話ではない。ストローアートという分野そのものがアートかホビーか、という問題に関して、あなた自身も、かつてそれをホビーだと認めて、その立場を享受していたのだから、あなたの作品の出来がどうあれ、ストローアートというものがホビーだと人に言われて、怒れた筋合いでもあるまい。まして、作品の出来に関して、ほんとうにアーティストなら、たとえどんな最低のドシロウトの論評であれ、笑って受け流すもんだ。有象無象の評価ごときで、作品そのものの価値なんか変わらない。どんなドシロウトにも作品を評価する権利はあるし、どんなアーティストにもそれを否定する権利は無い。そんな基本的なプロの厳しさもわかっていないから、シロウト臭いって言われるんだよ。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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