すべてのプロジェクトは失敗する

2011.09.26

経営・マネジメント

すべてのプロジェクトは失敗する

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

プロジェクトは、時間とカネと出来が3つどもえのトレードオフ。だれがなにをやっても、別の成功定義を立てれば、それは「失敗」にさせられてしまう。これを乗り切るには、コンセンサス法は無理。祝賀法か、先送り法しかない。

 いまどきだれも、リーダーなんか引き受けるもんじゃない。だれがなにをやったって、絶対に「失敗」する。なぜなら、外部のやつらは、それが「失敗」であるとなるような、別の「成功」の定義をかってに立てるから。

 ようするに、こういうことだ。プロジェクトというのは、時間とカネと出来が、三つどもえでトレードオフになっている。だから、目標は、いつまでに、いくらで、どれだけのことをする、という三脚定義に基づかないといけない。ところが、昨今、不景気の中のプロジェクトは、たいてい、このままじゃあかん、どぎゃんかせにゃならん、とような行き詰まりから始まる。とにかく現状から脱出するのが急務だ、とされる。しかし、これでは、じゃあ、どこへ行くのか、何も定義されていない。とりあえず現状を脱したとしても、こんな風になるくらいだったら、前の方がましだった、と言い出すやつがかならず出てくる。それも、おうおうに、そのプロジェクトを依頼したやつからだ。

 そうでなくても、さあ、プロジェクトだ、となったら、だれもかれもが、あれもこれもと、やった方がいいことを山のように上げてくる。小学生の学級会や中学校の職員会議のようだ。やった方がいいことなど、人に言われるまでもなく、現場は前からよくわかっている。前からやりたくでもできなかったのだ。なにかしようとすれば、時間とカネがかかる。だが、それにはかぎりがある。全部などできるわけがない。そこで、三脚定義となるが、結局、終われば、こんなに時間がかかるなんて聞いてなかった、とか、こんなことにムダにカネを使って、とか、せっかくやってくれてもこの程度の出来じゃ意味がない、とか、まさに三脚の別の足で、揚げ足を取る連中ばかり。

 なにがいけないのか。プロジェクトをやるなら、まず最初に、その三脚定義に関して、きっちりコンセンサスを確立しておかなければならない。とはいえ、このコンセンサス法は、現実には無理だ。始めるときは、それだけでも、と言うが、終わったときには、もっと、と言うのが、人間のサガ。たとえば、家を失ったときには、せめて屋根さえあれば、と言うものの、実際に仮設住宅に入居したら、暑い、寒い、狭い、遠い、と、不満ばかりが吹き出る。そのうえ、プロジェクトを依頼したやつらですら、まわりからつつかれると、もうすこしどうにかならんかったのかね、と、後からプロジェクトの批判に回る。条件の整わない現場で試行錯誤しながら必死に活路を切り拓いても、それを後知恵でどうこう言われては、どんなプロジェクトも、ひとたまりもあるまい。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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