ケーブルやアナログはNHKに受信料を払う義務があるか

2010.11.17

IT・WEB

ケーブルやアナログはNHKに受信料を払う義務があるか

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/NHKも、いまやコンテンツ競争に巻き込まれている。だが、NHKは、放送法に基づき、あくまで公衆向け無線通信の発達を目的とする存在であり、受信契約を転用して、コンテンツ課金をするのは、法的に無理がある。まして、アナログ停波で受信ができなくなった高齢弱者から受信料を詐取するようなことがあってはならない。/

 NHKのホームページの「よくいただく質問」に、「ケーブルテレビも受信料を払うの?」というのが出ている。NHKの答えは「お願いしています」。お願いする、というところが、ことの内情を暗に示している。つまり、「そうです」とは言えないのだ。

 そのせいか、「もっと詳しく」という説明も書かれているのだが、この屁理屈がひどい。日本には、『放送法』というものがあって、「放送」とは、第1章:総則の第2条1によれば、「公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信」と定義されている。つまり、「無線通信の送信」であることが類としての大前提で、そのうえ、それは種差として「公衆によって直接受信されることを目的する」ものに限定される。で、同じ『放送法』の第2章:日本放送協会(NKKのこと)の第32条に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と書かれている。これに対し、NHKの「もっと詳しく」は、「ここでは「直接受信」ではなく、単に「受信」と規定されています。したがって、「協会の放送を受信できる受信設備」とは、直接または間接(有線テレビ放送施設を介して受信する場合)を問わず、NHKが送信する放送番組を視聴できる受信設備のすべてをいうものです。」と言う。

 しかし、「ここでは」もなにも、総則第2条に「この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。」と掲げられており、第32条に「直接受信」と書いあるかどうかを問わず、第2条1の定義が第32条にも及ぶのは、法律論として当然のことだ。したがって、第32条は、第2条1の「放送」の定義を代入すると、「公衆によって直接受信されることを目的する協会の無線通信を受信できる受信設備を設置した者」ということになり、協会の無線通信を受信できる、のでなければ、つまり、常識的な意味で、アンテナで放送を受信できるのでなければ、契約対象とはなりえない。

 わかりやすくいうと、日本で「放送法」は、あくまで公衆向け無線通信に関するものであって、NHKも、無線通信に関してしか権限がない。この法律が作られた当時(1950)からすれば、無線通信こそが絶対優位であり、まさか、ケーブルだの、インターネットだの、有線通信(有線再送信を含む)がこんなにも再普及して、公衆向け無線通信の放送局が有線とのコンテンツ競争に巻き込まれたりするとは、だれも予想もしていなかったのだ。メディアの種類がなんであれ、NHKが受信契約を転用してコンテンツ課金をしたい気持ちもわからないではないが、受信契約が放送法による規定である以上、それは無理だ。かといって、放送法を改正するとなると、NHKが中心となって一般放送事業者にまでむりに無線通信のデジタル化を強要してきた放送行政の信頼が根幹から崩れてしまう。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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