アウェイの出張をホームに変えて勝負する

2010.09.03

仕事術

アウェイの出張をホームに変えて勝負する

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/出先のどこになにがあるかわかってしまえば、自分の家の中も同然。余計なものを持って、それに振り回されたりせず、むしろ世界からその力を引き出して、自分はただ、相手に会う、という目的に集中した方がよい。/

 仕事柄、国内外の出張は多い。だから、ちょっと空港や駅ですれ違っただけでも、仕事の出来そうな人、わざわざ行くだけムダそうな人が見分けられる。

 ダメの典型が、意外かも知れないが、スーツをきっちり着ている人。ちょっと知っていれば、機内や車内、現地ででも着替えられるところは、いくらでもある。それどころか、シャワーだって浴びられる。だから、豪の者たちは、スーツはスーツケース。むしろ乗った直後からジャージにサンダル。パソコン仕事などしたって、さしてはかどるわけもなく、ミスも増える。どうしても、というなら、乗る前の静かなラウンジか、現地に着いてホテルにチェックインしてからだろう。乗ったら、とっととくつろいで寝るか、せいぜい外の風景でも見ながら食事を楽しみ、発想のリフレッシュでもした方がまし。

 荷物が多いのも、ダメっぽい臭いが紛々。ちょっと昔なら、先方にプロジェクターでも持ち込んで、はったりをかます、というのがはやったかもしれないが、いまどき、そんなもの、先方にも常設されている。ばかでかいマルチメディアのノートパソコンも醜悪だ。あれは、デスクトップの代用品で、出張に持って歩くような重さではない。それに、せっかくの旅先で、わざわざ映画なんか見なくてもよかろうに。

 もっとみっともないのが、これ見よがしに、新型の変なビジネスツールを取り出して、延々と設定ばかりしている人。設定もできていないようでは、使いこなせていないのがバレバレだ。だいいち、なんでそんな余計なものを、出張に持って歩いているのやら。それじゃ、子供が旅行に巨大なおもちゃを持っていきたがって泣くのを笑えない。

 何度も旅に出でていれば、どんどん荷物は減る。どうせ使わないというものが淘汰され、無くても困らないもの、ほかのもので代用が効くものもわかってくる。それに、密林の奥地に行くわけでもないのだから、先方にあるもの、出先で調達できるもの、途中でタダで利用できるもの、チップ程度でちょっと借りられるものも多い。あそこが冷蔵庫、ここがトイレ。勝手さえわかれば、旅の道のりのすべてが自分の家の中も同然。それも、自分で片付けたり、掃除したりするまでもなく、中身まですべていつも整っているのだから、むしろ自分の家の中より楽なくらい。

 もとより世界はすべて自分の味方なのだ。その世界の力を自分のためにうまく引き出してこそ、自分も仕事に集中できる。そして、ここが勝負というところまで行って、びしっと着替え、自分は、ただ、相手に会う、という出張の目的にだけ、全力を尽くせばよい。それを、自分一人でなんとかしようと、余計なものだらけで、家を出たところからあれこれ身構え、世界を敵に回し、そのうえ、持ち物が重いし、じゃまだし、動きにくいし、これでは肝心の出張の目的さえもうまく果たすことが出来ない。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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