頭の良い人の頭の使い方

2010.08.20

仕事術

頭の良い人の頭の使い方

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/要領が悪いのは、頭が悪いのではなく、頭を使っていないからだ。いきなり取っ組みかかっても、体力が続かず、ミスも多くなる。まず頭で全体のイメージを掴み、枠組みと段取りを整えてしまう。そうすればこそ、効率よく、きちんと結果も出すことができる。/

 問い、1から100までの総計は。答え、5050。頭の良い人なら、こんなの即答できる。1たす2は3、3たす4は7、7たす5は12、なんて、やっている人は、頭が悪いのではなく、頭を使っていないだけだ。問題が1から100までと言うのだから、まず1から100まで全部を頭に思い浮かべる。それを真ん中でぽっきりと折る。1と100、2と99、そして、50と51。ようするに101が50個。これなら暗算で充分。

 シロウトが家の設計に口を出すと、ぐちゃぐちゃになる。壁紙はどう、床はどう。建築家からすれば、そんなことは、後で考えればいいことだ。まず重要なのは、配管。キッチンとバスルームは表裏にし、その外側に給湯器。階段や二階の角々に通し柱。洗濯、買物、来客の動線の整理。家全体の有機的な融合性を、まとめてイメージする。

 教科書を憶えるのでも同じ。頭を使わない人は、1ページ目の1行目から読む。そして、2ページ目で頭がぼーっとしてきて、3ページ目でつっ伏し、そこにヨダレのシミをつける。これは「レンガ積み式勉強法」。一方、頭の良い人は、読んだりしない。まず、章扉ごとにざっくりと本を開き、全部で何章あり、各章が何の話か、ぱらぱら見て、繰り返し出てくるキーワードをマーク。そして、見開きページのどこにどんなキーワードがあるか、見て憶えてしまう。キーワードの前後のつながりは、それから後の話。これを「ペンキ塗り式」と言う。何遍も均質に眺めることで、全体の記憶をより鮮明にしていく。

 職人だって、頭が大切。たとえば、コックであれば、できあがりのコースの全体を考え、必要になる素材すべてをまとめて仕入れ、仕事の段取りを割り振り、時間のかかる下ごしらえから始め、その手すきの間に、冷めないものを準備する。いきなり包丁を握って、とりあえずそこらにあるものから刻み始める、というのでは、あまりに脳がない。

 ようは、これからすべきことの全体を頭でイメージできるかどうかだ。これが見えれば、そこで必要となる素材や道具、すべき個々の作業とその順序、そのムダのないはめ込み方等々もまた、そのイメージを鮮明にして行くにつれ、具体的に細かく見えてくる。そして、ある程度が掴めたら、あとはイメージどおりに作業していけばよい。

 イメージ・トレーニングなんて、体育会系でもよくやる方法だろう。コース全体をイメージし、また、レースの初めから終わりまでをイメージする。こうして、まさに頭で全身を最適に統合していく。一動作が終わったら、また次の一動作、というのではなく、一連の流れるような、たった一つの動作として全体を自分のものにする。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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