うまく組織の歯車になるには?

2010.07.20

仕事術

うまく組織の歯車になるには?

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/世の中は組織で動いている。だれもがどこかでその歯車にならざるをえない。でも、噛み合わせや回し方がが悪いと、どうにもうまくいかない。さて、どうすればいいか。/

 民放は、よく公共放送の人気アナウンサーを引き抜く。でも、ほとんどが使いものにならない。それもそのはず、あの人たちは時計の針みたいなもの。立派に回しているのは、後の組織。針だけを壁につけても、回らないのは当然。公共放送の方は、引き抜かれたら、また別の新しい針に付け替えるだけ。

 同じようなことが一般社会でもある。前の会社ではやり手で、本人もその気だったのに、移ってきたら、ぜんぜんダメ。逆に、以前のところはいろいろあったようでも、ある部所に行ったら、まさに水を得た魚のように、生き生きと跳ね回っている人もいる。

 ようするに、人間の価値なんて、環境次第。和歌山のミカンを愛媛に売りに行くのは、アホだ。公共放送から民放への移籍なんて、まさにそれ。一方、紀伊国屋文左衛門は、嵐の海を横っきって江戸にミカンを運び、大儲けした。二億人いる米国人だって、日本へ来れば、みんなネイティヴ・スピーカー。私の友人も、ヴェトナムに行って、日本語の先生をやっている。

 組織の歯車になんかなりたくない、と言う人もいるが、うまく歯車になれば、自分一人の力をはるかに超える大きな仕事も成し遂げられる。そして、どんな人にも、それぞれに最適のポジションがある。大きな力を引き出す人、繊細に事を運ぶ人、あちこちを調整する人、そして、針となって外に立派に示す人。自分に合わないポジションで、自分に合わない仕事の仕方をさせられても、うまくいかないのは当然。それは、プロレスラーがヒヨコの雌雄鑑別をやらされているようなものだ。

 それに、いくらあなたががんばっても、それがあなたの上司を逆回転させているなら、がんばるだけ事態を悪化させる。同様に、いくらあなたが熱心に取引先を訪れててネジを巻いても、窓口となってくれている人物が社内になんのつながりもっていないのなら、まさに空回り。どちらの場合も、もっとちゃんとあなたと歯車が噛んで、あなたの力がその先にまで伝わっていく別の人を見つけないといけない。

 くわえて大切なのは、その回し方。ただ最初から力任せにガンガンと回せばいい、というものではない。状況に応じて、うまくギアが合っていないと、ずっと先の方で、クラッチが焼き切れたり、タイヤがスリップしたりしてしまう。一般に、出だしはゆっくりと。そして、確実に噛み合って、自分の力が組織全体に伝わっているのを確かめながら、徐々にトルクをかけて速く回していく。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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