「こども手当」と合同実施すべきだった賃金の切り下げ

2010.01.12

経営・マネジメント

「こども手当」と合同実施すべきだった賃金の切り下げ

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

民主党による「こども手当」が現実味を帯びてきましたが、せっかく労働組合を支持母体に持つ政党なのに管理職に対する賃金へ切り込まずに雇用問題が置き去りにされている感が否めません。 社会人になることに夢が持てないのに、社会が育てるって・・・本末顛倒ではないかと思いまして。

気になる記事がありまして。

就活戦線「氷河期ほど採用減らず」調査機関見通し(NIKKEI.NET)
10年春卒業の大学生、「就職できず」6割増 氷河期並み13万人に(NIKKEI.NET)

私自身が氷河期に就職活動をして、現在「採用から解雇」に至る人事リスクマネジメントを支援している現場感覚からすると、景気対策やそれに伴う雇用問題は、1社1社の取り組みや就活学生の個人の努力でどうにかなる問題ではありません。

内定を受けていない13万人の学生さんが来年に向けて就職活動を継続するとすれば、一般的に大学3年生を中心に算出される有効求人倍率に対して母数が3割増しになるわけですから、統計上の数値と体感値は大きくズレていくことになりますし、13万人が大学に残るとした場合の大学運営も気になるところです。

◆ 日本経済は賃金管理で大きく改善する

そもそも日本の年功型賃金体系は、一家の大黒柱が家族全員を養うことを背景・目的とした賃金制度です。そこに「こども手当」だけが一方的に入ってきたわけですが、そうするとお子様のいる管理職(管理職として相当の賃金が支払われている方)の可処分所得が増え、子供のいない若手社員は会社都合で昇給もできず「年代間」の所得格差が増大する結果になることが考えられるわけです。

結果として若者が苦労する状況はなんら変わらず、国家として夢を持たせることも難しく、国債発行で生涯借金を背負わせるだけの「こども手当」は、昨年末の「スペインの25歳以下の失業率が45%」という現状と並列で見ていると、友愛は誰の自己満足か?と思えてくるわけです。

厚生労働省と総務省と文部科学省がよほど連携しなければ難しいのかもしれませんが、「こども手当」によって可処分所得が増える世代と、そうではない世代の所得の移転をもっと真剣に検討する時期だと思います。

これまで週刊誌やワイドショーなどでは「子供のいない夫婦」との格差や所得制限ばかりがクローズアップされていましたけれども、それはマクロ的な観点で考えれば誤差でしかありません。それよりももっと大きな問題を孕んでいることがなぜ議論に上がらないのかが疑問なのです。

例えば「こども手当」を受ける社員の賃金を「こども手当」の30%分カットして「こども手当」を受けていない社員の賃金に上乗せする。

実現性は乏しいかもしれませんが、将来の大人たちに借金を背負わせる制度ですから、すべての世代がその恩恵を享受し、そして将来の大人たちに希望を持たせられる日本経済に回復させる義務があるのではないかと思うわけです。

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荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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