コストダウンを「解雇」で行ってはいけない

2009.12.16

経営・マネジメント

コストダウンを「解雇」で行ってはいけない

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

解雇相談を受ける際に、目的が「人件費圧縮」であれば、解雇ではなく賃下げやITコスト削減等から行うようにとお願いしています。 この背景は訴訟コストの削減や労働基準監督署からの是正勧告の回避のためなのです。

最近相談される「解雇相談」ですが、やはり対応する労働組合や弁護士の方々によっては、予想以上に会社側が負けるケースが増えてきています。

バブル崩壊前までは、多くの企業が「家族経営」といったスタンスを標榜していましたが、現在は会社と従業員は雇用契約により対等な関係にシフトしてきています。

「解雇」による訴訟が増えているのはこの考え方(会社のために会社を辞められるか否か?)が変化しているためであり、優しい気遣いできる社員が辞めてあげるといった考え方が薄れているためで、ある意味必然と考えられるものです。

しかし、経営者や人事経験の長い方は、未だに昭和の時代の「解雇」のあり方(従業員を解雇すればそれだけ利益が残るというリスク想定のない一方的な発想)にとらわれているのかもしれません。

◆ 解雇予告と解雇権の濫用

よくある大きな問題は「1ヶ月前の解雇予告」「解雇予告手当の支払い」を行ったことで「解雇」が有効になったと考える経営者や人事が多いということです。実際は、労働基準監督署がその解雇を「解雇権の濫用」ではないと認定して初めて解雇は成立しますが、この点の認識にズレがあるようです。

解雇が認められない場合、また一人労働組合や弁護士事務所に駆け込まれて交渉が拗れた場合などは、大抵は会社側の責任が問われ、数か月分の賃金の支払いを認定されているようです。

今問題なのは、この流れが正社員だけではなく、契約社員やパート・アルバイトにまで及んでいるということで・・・。契約社員やパート・アルバイトの方が正社員と同様の仕事をしている場合は特にリスクが高くなります(業務内容や勤続年数によって変化します)。

以前のコラムで書きましたが、解雇プロセスを理解している実務担当者がいない場合、安易な解雇は、解雇して得られる人件費相当の利益をあっという間に相殺しても、負債が残るくらいのリスクがあるということになります。

「解雇権の濫用」の場合、解雇対象者が調停などに持ち込んだ場合は、その期間中の賃金は会社が支払わなければなりません。

加えて、労働基準監督署がヒアリングを行いますが、サービス残業などの認定があれば、その解雇対象者だけではなく、全社員への支払いが義務付けられます。よって、解雇によって得られる利益以上のコストが発生することがあります。おまけに雇用調整に関する助成金や、社員教育に関する助成金の返還を求められることもあり、特に慎重な対応が求められます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

フォロー フォローして荒川 大の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。