パンデミック時は「入院保険」が出ない理由

2009.07.23

ライフ・ソーシャル

パンデミック時は「入院保険」が出ない理由

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

風評対策コラムから大分話しがずれてきているかもしれませんが、医療保険で気になることも書いておきたいと思います。結論は、パンデミック時に入院保険はおりないということだけです。

パンデミック時のリスクを考える時、企業であれば事業が運営できない時のことを考えますが、個人であれば、新型インフルエンザに罹った時にどうやって回復するかが重要な問題となります。

そこで思いつくのが、入院して、タミフルを飲んで、人工呼吸器を付けて、安静にする…という一般的な治療イメージなのですが、パンデミックとは爆発的流行という意味ですから、必要な病床(ベッド数)を確保できない状況が容易に想像できるわけです。

新型インフルエンザは病気ですが、病気で入院するのは新型インフルエンザだけではありませんので、特定の病気で入院する病棟は限られることになります。

ここで問題になるのが「入院保険」。

入院保険とは、入院した際のベット代ということになりますが、新型インフルンザが蔓延して病院が入院を受け入れられない場合、どうなるかというと、入院していなければ、入院保険は支払われないのです(生保の営業担当者曰く、病床が足らなくなる状況は想定されていないとのこと…)。

通常であれば、入院の必要がありながら、病床が足らないため自宅療養にさせられるだけで、保険もおりず、人工呼吸器も使えない状況に追い込まれるわけです。

そうなると治療に必要な診療と薬代のみが医療保険の一部によって支払われることになるのですが、インフルエンザによる症状でもっとも重大なものは「肺炎」で、その対策として大切なものが「人工呼吸器」による呼吸の確保ですので、治療レベルも下がり、保険も十分に支払われないということになります。

救急病院のたらい回しが時々問題になっていますが、パンデミック発生時は、救急車も病床もパンクしている状況で、多くの方々が病院を渡り歩くことになるのでしょう。

パンデミック対策は、人命尊重がもっとも大切だとされるのですが、感染拡大を出来る限り抑えるために必要な対策はまだまだ講じられているとはいえない状況です。それどころか沈静化してきたのではないかと思われている感じもしています。

IT環境におけるウィルス対策は日常化していますが、10年前はまだまだ問題視されていませんでした。

パンデミックに対するウィルス対策がどの時点で十分なものになるかは分かりませんが、被害が発生してから分かるには、生命という点からリスクが大き過ぎるような気もします。

※当コラムは、最近開催されているパンデミック対策セミナーの中でも、財務リスクに注目したもので語られる「法人は保険で守られない」けれども「個人は保険で守られる」といった説明に対する、補足説明を兼ねております。経済関連法が後追いで制定されるのと同様に、保険会社の約款も、想定していない事態には「不払い」で対応するしかないという状況の抱えるリスクについて纏めているものです。

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荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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