改正労働基準法が与える影響について

2009.06.09

組織・人材

改正労働基準法が与える影響について

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

来年の4月より改正労働基準法が施行されます。最も大きな影響は、月間残業時間が60時間を越えた部分に対する割り増しが50%になることですが、その変化から生まれる様々な影響について考えます。

厚生労働省のWEBページには、以下のようなものがあります。

「労働基準法が改正されます(平成22年4月1日施行)」
http://www-bm.mhlw.go.jp/topics/2008/12/tp1216-1.html

この法令改正によって、変更されるポイントは「時間外労働の割増賃金」に集約されますが、その影響が及ぶ範囲は広範に渡ります。
ここでは項目別に整理し、数回に分けて書いていきたいと思います。

■ 影響が及ぶ範囲について(概要)

1. 就業規則と賃金規程の見直し
今年度の下期中に就業規則を定めている企業の全てが就業規則の見直しを行わなければなりません。
法令施行後に労働基準監督署に提出しても問題はありませんが、J-SOX対応を考えると上場企業及び上場企業関連会社は今年度内に対応しておく必要があるでしょう。

2. 就業規則だけではなく業務の見直しが必要
割増分が50%になるということは人件費に対する影響が大きく、就業規則を変更するだけではなく、社員間の業務バランスを平準化させる必要がでてきます。
まずは、現在の各社員の就労状況に対して月間60時間を越える残業分に割増を適用して仮の算定をしてみるとその金額が分かります。

3. 有給休暇の時間単位管理は人事業務を圧迫する
有給休暇は基本的に1日単位。会社によって特例で半日単位の管理がなされておりますが、これらは本人の事前申請および会社業務への影響を考えて実行されるものです。
もし、時間単位での導入がなされた場合、年間最大5日分と定められていますが、8時間×5日=40時間がバラバラに利用されることになります。実現性は低いですが、年間240日営業の場合、40日(6分の1)は1時間の有給休暇を取得…なんていう利用も可能になるかもしれません。管理の実効性が問題となるでしょう。

4. 平日の残業代が休日出勤よりも高くなる
時間外手当の段階的な引き上げ(時間外労働45時間まで25%、45時間~60時間は25%以上の努力義務、60時間以上は50%)により、月間の総労働時間の管理が重要になるだけではなく、デキる社員は平日の残業から休日出勤への移行を暗に強要される恐れがでてきます。
休暇の無い断続的な労働は心身共に労働安全衛生に関するリスクを増大させます。

5. メンタルヘルス管理の重要性が高まる
今回の改正労働基準法をそのまま解釈すると、時間外手当の支給額を抑えたい場合「休日出勤」をうまく活用した方が良いということになってしまいます。これは労働者から休日を奪うことになりますし、この判断の行き着く先は平日の残業時間管理の放棄にも繋がりかねないものとなります。
メンタルヘルス管理は個人に対するカウンセリングだけを指すものではなく、就業環境の改善全般ですので、この分野の取り組みが重要になります。

次のページ6. 未払い残業代の清算が急務

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荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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