企業リストラの成否の鍵を握るもの ~サービス残業対策~

2008.12.15

組織・人材

企業リストラの成否の鍵を握るもの ~サービス残業対策~

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

2008年は偽装発覚の1年でした。そしてサービス残業が取り沙汰された1年でもありました。2009年に増えると言われる「解雇」は、解雇された方による「未払い残業代請求」によって一気にコストアップ要因へ変貌しそうです。

大手企業による「正規雇用者」の解雇が現実味を帯びてきました。BIG3の救済不調によって、円高も進んでいますので、海外での収益が多い企業は特に国内事業や国内雇用には神経質になっていると思います。

さて、2009年のキーワードの一つは「解雇」になると思いますが、やり方を一歩間違うと労働基準法に基づくコストアップになる可能性があります。ここでのポイントは「サービス残業の未払い金の解消」ができているかどうかが「解雇」によるリストラの成否に関わると考えられます。

一般的に考えられる「リストラ」時のリスクとしては以下のようなものがあります。

 1.解雇対象になっていない、現社員への引継ぎ不十分によるモラルダウン
 2.解雇対象になっていない、現社員の業務過多によるモラルダウン
 3.解雇対象になっていない、優秀だと目した現社員の流出
 4.解雇対象者への説明プロセスにおける「ハラスメント」訴訟の発生
 5.解雇対象者への説明不十分による「地位保全」訴訟の発生
 6.解雇対象者の自傷・自殺等による管理不十分に対する賠償
 7.その他、企業のイメージダウンに伴う見えない価値の流出
 8.連日の解雇面談による人事担当者の傷病(うつ等)

加えて、解雇された社員が、地位保全ではなく「未払い残業代の請求」という方法を選んだ場合、その社員の支払いが労働基準監督署に認定された段階で、全社員(非管理職)に対する支払いの義務が発生します。(管理職が深夜残業の未払いを請求して認定された場合も、非管理職の未払い解消が義務付けられます。)

年俸500万円の社員が、法定労働時間の勤務(年間1920時間)をしている場合、時給は約2,600円。残業手当ては1.25倍で時給が3,250円。この方が、1日1時間のサービス残業をしていると、年間240時間。労働債権の請求は過去2年間ですから、3250円×480時間=1,560,000円。

1名が1日1時間のサービス残業で、150万円の請求となります。
1名が認定されれば、会社は非管理職全員に適用しなければなりませんので、非管理職が100名いれば1億5千万円のコスト増となります。解雇だけで対応できる問題なのかを考えなければなりません。

コスト削減に向けリストラを行おうとするのは避けられないものと考えても、そのプロセスにおける多大なコストはもっともっと避けなければなりません。
そのための人事のリスク管理については、年内・年度内に十分に対策を講じて頂きたいと思います。

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荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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