解雇による人件費圧縮はどこまで有効か?

2008.12.05

組織・人材

解雇による人件費圧縮はどこまで有効か?

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

人事業務に携わって10年目。リストラの効果と悪影響を整理してみようと思います。経営者や人事に携わる方へちょっとだけ時間を頂ければと思います。

会社が儲かっているかどうかの指標を何にするかでイメージが変わってくるのですが、まずはここから始めましょう。

■『労働分配率』について

経営が安定しているかどうかを測る指標として、労働分配率という考え方があります。財務の指標として人件費率よりも重視すべきとされています。

計算式は「労働分配率=人件費÷付加価値」

この付加価値という考え方は、経理を担当している方であれば理解できる概念ですが、人事業務に従事しているとあまり気にならない部分でもあります。

ちなみに、付加価値とは以下の考え方で算出します。
「付加価値 = 売上高 - 売上げ原価」

情報処理サービス業種では、人件費率:55.1%、労働分配率:69.6%という平均データがあります(TKCさんの資料より)。
これらの計算から導きだされる結果は、労働分配率が高い業種ほど、人材に依存している傾向が高く、労働分配率が低い業種ほど仕入れ価格にその事業が左右されると見られるわけです。

御社では、どれくらいの数値になりますでしょうか。

■何を圧縮すべきか

一言で「人件費」といっても、会計上は以下の項目があります。
賃金・賞与・法定福利費・福利厚生費・退職金・役員報酬等
他にも、販売管理費の中で給与所得に含まれるものなどがあります。

コストという点で考えれば、ファシリティーコストと呼ばれる「地代・賃料」や備品、リース料などがあり、また販売管理費に含まれる様々な営業活動経費もあります。

ちなみに上場企業の内部留保を全て足し合わせると300兆円近い額になるのだそうです。それでも今、解雇となる理由は、報道ではなかなか表に出てきません。

■解雇プロセスにおけるリスク

人事実務を経験してきて思うことは、日本におけるサラリーマンにとって、特に長年1社で勤めてきた方にとっては、解雇通知は通知ではなく「死刑宣告」に受け取ることもできるものです。

あまりのショックに何も手につかないというのが、普通の姿だと思います。

そこで、解雇を行う際には、以下のリスクを想定した対応ができなければ、会社は経費削減の作業中に、想定外のコストが必要になると考えらます。

1.解雇対象になっていない、現社員への引継ぎ不十分によるモラルダウン
2.解雇対象になっていない、現社員の業務過多によるモラルダウン
3.解雇対象になっていない、優秀だと目した現社員の流出
4.解雇対象者への説明プロセスにおける「ハラスメント」訴訟の発生
5.解雇対象者への説明不十分による「地位保全」訴訟の発生
6.解雇対象者の自傷・自殺等による管理不十分に対する賠償
7.その他、企業のイメージダウンに伴う見えない価値の流出
8.連日の解雇面談による人事担当者の傷病(うつ等)

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荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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