日米間のベンチャーを取り巻く環境の違い

2008.07.11

経営・マネジメント

日米間のベンチャーを取り巻く環境の違い

坂口 健治
クイックウィンズ株式会社 代表取締役

先日、米国VC協会理事を務めるVCのパートナー(日本人)のご講演を聴く機会をいただいた。パートナー(社員)はたったの9名。にもかかわらず約2,000億円というファンドをシード/アーリーステージの世界中のベンチャーに投資しているという。

いろいろ御話しを伺ったが、投資理念が素晴らしく、また日米間でのベンチャーを取り巻く環境の相違など興味深い話しを聞くことができたので以下ご紹介したい。

■投資理論(素晴らしいと感じた点)

・VCがお金を出すのは、これはと判断したベンチャーに資金的苦労をさせない為である
・そのため、数千万円ではなく数億円の投資が基本スタンス
・シェアは創業者に残さないと創業者のやる気がそがれる
・そのための方法はいろいろあるが、基本的には優先株などの割り当てに応じている

私の会社は今のところ資金調達をかけているわけではないので、日本のVCの実態はわからない。だが、ITバブルが崩壊して以降、このような投資理念を打出しているVCがどれくらいあるのだろうか。世間知らずなだけかもしれないが、私の知る範囲では聞いたことがない。

■日本と米国のベンチャーを支える4つの環境の違い

1.起業家を支えるインフラ
 - ハンズオンサポートが日本のサラリーマンVC社員には出来ない
 - ヘッドハンティング機能が弱い:良質な人材の流動性が低い
 - 銀行や証券会社のExit戦略が弱い:とにかく上場ありきで上場後破綻する
  企業が絶えない。これにより投資家心理が冷え切っている
 - ソーシャルキャピタルが無い

2.起業に対する社会の評価
 - 成功の定義が米国と違う
  有名大学の教授が授業において、一流は起業、二流は大企業と公言する:
  学生の常識に影響
 - 起業の失敗時の評価が違う
  米国ではもしも失敗しても、大企業が喜んで雇用する
 - シリアルアントレプレナー
  米国では起業して成功したのち、次の起業に向かうケースが多いが日本では
  そのまま居座る
 - スター不在
  ホリエモンのように出る杭が叩かれすぎて誰も出れない雰囲気がある
  (彼はは実際良くないことをしたのだろうが)

3.教育
 - 文系/理系の意味の無い区別
 - 教育とビジネスの境界
  大学では、ビジネス経験のある教授が評価されるが、日本では「准教授」  「XX教授」と不公平な区分けされていている
 - 外国語(英語)などコミュニケーションツールとして割り切った教育がな
  されていないこのため、幾ら教育しても話せる人が少ない。インドや中国な
  どは「通じれば良い」レベルでドンドン話すが、日本人は躊躇が先行

4.ベンチャーと大企業の関係
 - 日本の大企業は自前主義
 - 米国ではM&Aによる成長戦略上にベンチャーがいる:Exit機会が多い
 - CIOの感覚が違う
  米国ではITはコストセンターだから、大企業でも良ければベンチャーの技
  術を使ってでもコストを下げようとする:日本では大企業⇔大企業

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坂口 健治

クイックウィンズ株式会社 代表取締役

所属企業のカンバン、規模によらず個人が持つ付加価値やパーソナリティでビジネスプロフェッショナルがもっと輝きもっと活躍できる社会への貢献をVisionにQuickWinsを創業。INSIGHT NOW! ファウンダー、運営事務局メンバー

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