好きなこと、出来ること、求められること

2008.05.03

仕事術

好きなこと、出来ること、求められること

猪熊 篤史

新たな試みや挑戦のためには、好きなこと、出来ること、求められることという3つの視点が必要である。

進路、キャリア、人生、あるいは事業を考える時、また、新たな試みや挑戦のためには3つの視点が必要である。自分が「好きなこと(希望すること)」、「出来ること」、顧客や社会などから「求められること」という3つの視点である。

こんな話しをすると「顧客第一主義」や「お客様本意」を理念として掲げる人々からは「お客様の希望が全て」という反論を受けるかも知れない。「お客様が望んで、自社に出来るのであれば実行すべきだ」という主張もあるだろう。果たしてそうだろうか?答は必ずしもそうではないだろう。いくつか理由をあげられる。誤解を恐れずに言えば、お客様の意見は常に「正しい」ものはないからである。お客様の意見を100%聞き入れて作ったつもりの製品が、お客様の心をとらえないことがある。お客様が本当に求めるものを見出す作業や態度も必要である。そのために、お客様に対応する自分(自社)が、お客様の求めていることが好きか、好きになれるものなのかという視点を持つことが重要である。そのような合意形成によって作られた製品・サービスが技術革新の荒波によって急速に陳腐化してしまったとしてもお客様も納得できるだろうし、自分(自社)でも納得できるのではないだろうか?むしろ、自社主導でお客様に不都合が起こらないような解決策を提案すべきであろう。お客様のニーズに応えることには深い意味がある。

顧客が求めて、社会が許容して、自分も好きなので進出したいと考えるビジネス
もあるだろう。例えは、通信事業、航空ビジネス、あるいは、球団経営などである。ここで自社に出来るのかという視点が問われる。出来るかどうかの判断基準として、「想い(意志)」、「能力(技術、知識、組織、関係)」、「財力」がある。多少時間はかかるかも知れないが「想い」がある人には「能力」が、「想い」と「能力」がある人には「財力」が与えられるものである。しかし、しばしば「財力」や「能力」が先行することがある。このようなケースは注意が必要である。1980年代後半のバブル期の財力に頼った多角化事業や2000年前後に注目されて多額の投資資金を集めたインターネット・ベンチャーなどが良い例である。

企業再生なども同じである。破綻した企業は、求心力を失い、経営への「想い」が抜け落ちた企業となる。そこに資金を投入する投資ファンドなどの投資家にとっては「財力」が先行しがちである。コンサルタントなど経営知識、ノウハウ、スキルを持った人材を派遣することは出来る。また、技術や産業に関する情報などは専門家を雇わなくても買い求めることが出来る。決定的に不足するのは、経営への「想い」である。企業を再生したいと心から思う人材、経営に命がけで当れる人材がいなければ企業再生は出来ない。企業再生で求められるのは多額の投資資金ではなく、優秀な「監督」と経営を実行する優れた「アクター(俳優・女優)」である。投資ファンドなどが「監督」に当たることが多いだろう。経営者は、創業者のような情熱的な経営、専心的な経営を実演しなければならない。

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