連休明けに通信崩壊?

2020.05.02

ライフ・ソーシャル

連休明けに通信崩壊?

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/不要不急のくせに、我先に、自社は最先端の技術で、などという自己満足は、トイレットペーパーの買い占めと同じ。通信回線という資源は有限だ。トラブルなく、スムーズに、スマートに使いこなすには、社会全員の協力が必要だ。/

どうも日本は多様性が無い。同調圧力が強い。だれかがZoomだオンラインだと言い出したら、すぐ、全社全員がそれを使え、ということになる。全国民にPCR検査しろ、と言っていた連中の発想と同じだ。資源が有限であることが、視野に入っていない。その負荷に既存施設が耐えられるかどうか、だれも考えない。連休明けに、日本中が一斉に動画会議などを使ったら、〈通信崩壊〉が懸念される。

以前、33年も前、全国放送の深夜討論番組に関わっていた。ウリは、視聴者の意見も電話を受け付けるという仕掛けで、それまで一方通行で送りっぱなしだったテレビの「放送」を、リアルタイムのインタラクティヴに仕立て、これが当たった。

深夜だから視聴率も知れたもの、まあ、なんとかなるだろうと軽い考えで企画したが、現実には法外な数の電話がテレビ局にかかってきた。ネットもなにも無く、せいぜい新聞の読者投稿欄くらいしかなかった時代だったので、番組なんかろくに見ずに繋がるまで電話をかけ直し続け、言いたいことを言いたいという「視聴者」が大量に潜在していた。オペレーターは30人、ときには50人。そのブースは、スタジオの三分の一にもなった。しかし、それでも捌ききれない。

それどころではない。テレビ局内はもちろん、地域一帯の電話まで麻痺した。地元交換機が処理しきれないのだ。深夜とはいえ、警察や消防の緊急電話もダメになる。それで、各地方から東京の当該番号に発信している段階で制限をかけていただいた。ところが、こんどはその制限をかけた地方でも輻輳や障害が発生し、視聴者意見紹介コーナーなど、リアルタイムの番組の進行に合わせて、微妙なさじ加減で細かく調整していただいて、毎回、どうにかかろうじて乗り切っていた。

あれから33年、猫も杓子もスマホだ。おまけに動画。ニコニコだ、Abemaだ、Youtubeだに加え、近年は大量の映画配信。また、個人でもSkypeなんて、ほんの十年前までは、ちょっと気の利いた人々しか使いこなせなかったのが、いまや全員強制参加のZoom会議。それも、このコロナ騒ぎで、コロナなみに爆発的に激増している。

しかるに、日本のネット環境。スピードテストで知られるOOKLA社の世界比較(2020年3月)で言うと、モバイルでは日本は42位。スロヴァキアやルーマニアより下。アラブ首長国連邦が83.52Mbpsなのに対し、日本は35.73。つまり、首位の半分以下。ちなみに、韓国は81.39、中国は73.35。日本は、アジアでも後れまくっている。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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