カルロス・ゴーンの犯罪:アイデンティティ無き国際人の悲劇と危険

画像: photo AC: kitto1103 さん

2018.11.20

ライフ・ソーシャル

カルロス・ゴーンの犯罪:アイデンティティ無き国際人の悲劇と危険

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/それぞれの国のエスタブリッシュやローカルな庶民は、いまどきヘイトになるから、口には出さない。だが、本音は、「ジプシー」に対する根強い不信感。その不信頼を感じ取るがゆえの「ジプシー」の確信的な裏切り計画。それで、またやっぱり、となる。/

レバノン人でブラジル生まれ。フランスの国籍も持ち、日本の会社で地位を得る。典型的な「国際人」。昨今、というより、維新来、日本は、長い鎖国の裏返しなのか、こういう正体不明の「国際人」に弱い。テレビや新聞、雑誌も、こういうアイデンティティのはっきりしないハーフだの、バイリンガルだのだらけ。だが、連中は、生まれながらに悲劇的で、周囲からしてもかなり危険だ。

「国際人」と言うと、世界をまたにかけて活躍しているかのようで、とても聞こえが良い。だが、逆に言えば、やつらは、どこにも居場所がない、国と国の隙間の流れ者。広義の「ジプシー」。かつてのユダヤ人がそうであったように、どこの国にも、かれらのほんとうの味方はいない。『ヴェニスの商人』よろしく、困ったときには彼らに頼るが、用が済めばすぐ叩き出す。ほんとうは、仕方なく受け入れただけで、こういう風に乗ってやってきたみたいな世渡り上手なヨソ者が、心情的には、みんな大嫌いなのだ。しかし、だからこそ、彼らもまた、けっして人を信用しない。頼れるのは、持ち逃げできるカネだけ。取れるときに取れるだけ搾り取って、トンズラの機会を窺う。

長いユダヤ人の歴史でもわかるように、これは、昨日今日の話ではない。また、日本だけの話でもない。いや、ユダヤ人だの、印僑や華僑だの、それぞれの国に根付くことはないにしても、彼らなりの国際的なコミュニティがあり、信仰やモラリティがある。それゆえ、彼らなりの「仁義」の縛りがあり、いくら出先の国でも、後先のこともあるので、あまり無茶は許されない。だが、問題なのは、こういう国際コミュニティにすら属していないニワカの流れ者。緩く世界に繋がってはいるが、多くの場合、それは国と国の隙間を利用した悪事。精神的な「担保」が無いから、恥も外聞も恐れない。おまけに、育ちが悪いと、えらくなっても、手癖が悪い。それが、広義の現代の「ジプシー」。

明治の「お雇い外国人」も、怪しいやつらだらけ。モース、フェノロサ、ハーン、などなど。「極東の土人ども」は知らないだろうが、これが国際常識なのだ、とか言って、とてつもない法外なカネをせしめ、結局、どこの国にも悪いウワサが広がり、世界中から呆れられて、最後は自滅的に転落していく。よくよく考えてみれば、こんな半端な連中に頼らなくても、自分たちでできることだったのだ。にもかかわらず、国内では人間関係が雁字搦めで、身動きできない。それで、こんないいかげんな、うさんくさい外圧の権威を利用せざるをえない。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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